付記
〇コーポレーション社長の一人娘、森由紀は父親の友人の興信所に勤める小川という男を呼び出した。
祖父の激しい気性を隔世遺伝で受け継いだ由紀は、外見こそおとなしく見えるが、ひとたび腹を立て始めると
父親でも手に負えなかった。小川は以前〇コーポレーションが暴力組織の恐喝を受けたときに、会社が
情報収集を依頼した男だった。過去にそのての仲間と交流があったらしく、裏の世界に通じていた。
由紀は小川を自宅に呼び出すと、夫の浮気相手を調べるよう依頼した。夫の隼人はラブホの
領収書は風俗嬢と遊んだ時のものだと言い張ったが、それは女の直感をあまりに軽視した言い訳だった。
小川は絵美の夫が興信所に森隼人のことを調べに来たことを知っていたので、その場で由紀の夫の浮気相手が絵美
であること話した。由紀は小川に絵美の履歴を調べたうえで、用意周到に不倫の報復をしてほしいと依頼した。
十分な報復を与えること、決して警察に通報させぬこと、誰の何に対する報復かを分からせること、この
難しい条件がすべて満たされるよう依頼したのだった。小川は仕事柄、恨みつらみを取り扱うことが多いが、
この時ばかりは女の恨みの恐さを再認識したのだった。小川は絵美の過去を調べるうちに叔父の家に預けられた
理由に疑問を持ち始めた。これは探偵のカンであった。年頃の娘に何かの問題が生じたのではと疑いを持ったのだ。
母親が家を出て更に父親からも離れる理由を小川は探った。同級生の親友だという女性から、絵美が父親と異常に仲
がよかったという情報を得たのだった。あとは、それらの情報を組み合わせて「お楽しみの時間」である。
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