土曜日は天気も良かったから、ひさしぶりに絵美とドライブをして海の見えるレストランで
食事をとった。しばらくは心の中がぐじゃぐじゃ状態だったが、ようやく落ち着いてきた俺だった。
絵美はきっぱりとあの男とは切れたと言っていた。30歳までには子供を産みたいといっていたが、
ようやく産む気になったらしい。ちなみに最近までは安全日を選んでセックスしたり、外だしを
したりして、妊娠を避けていた。もっともあの男の精子で孕ませられた一大事になるところだった。
レストランは海岸線を走る国道沿いの崖の上にあった。メニューを見るとパスタが得意らしい。
二人とも好みのパスタを頼み、料理を待つ間窓からの景色を眺めていた。
「いいお店ね」
「景色がすばらしい」
遠くの海を巨大なタンカーや旅客船が行き来していた。晴れた空には綿のような雲がポツン、ポツン
と浮いていて、斜めに線を引きながら遥か上空をジェット機が飛行していた。
パスタが来た。二人とも楽しそうに食事を食べていた。
妻は不思議な色気がある。出会って3年たつが、いまだに謎めいていて美しい怖さがあった。
明るい店内の少し離れたテーブルに若い男二人が食事をしていた。背中を向けた男はわからないが、
こちら向きに座っている男は野性的な顔立ちの美男子だった。Tシャツから伸びている腕も筋肉が
太く鍛えられていた。
「あなた、どうしたの?」
俺の視線に気が付いた妻が、その方向を見て俺に言った。
「えっ・・・・いや、何でもない。」
とっさに俺はそう答えたが頭の中で、今見ていた男が妻をホテルに連れていき、妻のからだを犯す情景を
熱に浮かされているかのように夢想していたのだった。
(おわり)
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