第32話 終焉①
時刻は午後4時30分。
セックスを終えた2人は、まだ全裸のままでベッドに寝ていました。
と言っても、愛し合う者同士の事後とは違い、抱き合う事もなく、会話すら殆ど無いまま、時間だけが過ぎていました。
まずはまいの体力を回復させ、無事に家に帰らせる。
まだ少し時間は有りましたが、ギリギリまで行為を続けるのは、車で帰るまいには危険すぎます。
木崎はこの時間を利用し、今後についても考えていました。
とりあえずまいを抱く事は出来た。
このままじんに黙って関係を続ける事も可能だろう。
しかし…………じんは近い内に必ず3人でのプレイを提案してくるだろう。
その時にまいが自分のセックスに馴染んでしまっていては、じんにバレてしまう。
まいにはバレて関係が終わっても良いとは言ったものの、いざ手に入れてしまうと手放すのは勿体ない女……
まずはじんからのアクションを待って、じんの目の前でまいを抱く。
そして上手く誘導して、まいの貸出という展開に持って行こう。
それまでは…………残念だがまいと2人だけで逢うのはやめておこう。
一方のまいは、何とも言えない不思議な気持ちで、自分のした事を思い返していました。
不思議と後悔はありません。
全く無いと言えば嘘になりますが……
でも、お世辞にも格好良いともスタイルが良いとも言えない木崎に、流されたとはいえ何故身体を許してしまったのか……
これまでに2回もエッチな事をしたから?
10歳上で社会的地位もある男性の包容力に惹かれた?
旦那の性癖を叶えようという献身?
それとも自身の好奇心?
色々考えましたが、どれも当てはまりません。
ただ『プレイではなく木崎に抱かれた』という事実だけが、そこに有りました。
「おっと…………もうこんな時間か…………」
沈黙を破ったのは木崎でした。
「奥さん大丈夫?動ける??」
“奥さん”
不意に呼ばれたよそよそしい呼び名。
それにより、まいは一気に現実に引き戻されました。
「だ、大丈夫です…………ちょっとシャワーしてきます……」
恥ずかしそうに身体を隠しながら、まだ完全に力が戻らない身体を何とか起こし、覚束ない足取りでバスルームへ。
木崎もそんなまいの変化に気付きました。
【しまった…………まぁでも良いか……まだどうとでもなる】
シャワーの音が聞こえ始めると、木崎もバスルームへと向かいました。
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