第22話 貪食②
【自分はM…………犯されるような口淫にも反応するような女】
まいは茫然としたまま座っていました。
木崎はまいの両腋に手を差し入れ、身体を上に引き上げました。
自分の本性を見透かされ、バツが悪そうに俯くまい。
そんなまいを木崎は強く抱き締めました。
そして下から覗き込むように顔を下げて、そのまままいに唇を重ねながら上に向かせました。
まいの首の後ろに回された木崎の腕が、木崎自身の右肩を掴んでいます。
それほど窮屈なくらいにまいは強く抱き締められていました。
貪り合うようにキスを始めると、どちらともなく互いの身体をまさぐり合うように。
緊張と弛緩の繰り返しから、まいのスイッチのオン⇔オフ。
木崎はそうやってまいの心を巧みに操りながら、完全に自分のコントロール下に置く事に成功していました。
自己嫌悪に近い状態から、それを吹っ切るように行為に没頭するまい。
自己暗示の様な状態で、一心不乱に木崎を求めていました。
2人はキスをしながらその場から動き始めました。
もう待てないとばかりに、濡れた身体のままバスルームを出てベッドへ。
木崎は掛布団を剥ぎ取ると、少し乱暴にまいをベッドに押し倒しました。
ベッド上で重なる2人。
木崎は手を付いて上半身を起こした状態で、まいの顔を見つめていました。
するとまいが……まいの方から木崎の首に腕を絡ませました。
【ここまで来たら……後はこの身体に俺を深く刻むだけだ……】
既にまいの心は自分を受け入れている。
次は身体…………自分の中の持てる技を駆使してまいを快楽へと誘い、その快感を深く刻み込み、心身ともに自分を受け入れさせよう。
木崎は頭の中でそう考えながら、まいに顔を近付けて行きました。
まいも木崎の行動を察し、静かに目を閉じます。
初めは軽いキスを……
そう思って微かに唇を触れさせた瞬間、まいの方から唇を強く押し当て、舌を伸ばしてきました。
まいの興奮は既に極限まで昇っていました。
しかし木崎はそれから逃れるように顔を離し、まいの頬や耳元に優しく口付けて行きました。
それは木崎による最後の仕上げでした。
堕ちたとは言え、昂った気持ちのまま交わってしまえば、醒めた時に【あれは興奮に流されて】という言い訳を与えてしまいます。
一度興奮を落ち着かせ、まいに再び状況を理解させ、受け入れさせる。
旦那の為ではなく、まい自らの意思で自分に抱かれるという事を植え付ける為でした。
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