第10話 本音と建前③
「旦那さん以外だと、誰としてるのを想像するの??」
自分でない事は確か。
でも敢えてその話題に触れました。
「別に…………誰って訳じゃあないんですよね……ただ想像するだけで、顔までは想像してないんですよ……」
「へぇ……そんなパターンもあるんだ。だとすると、まいさんは結構想像力は豊かではないよねw でも、旦那さん以外ってのがアレなのかな?」
「アレって??」
「私やあの男を受け入れた事。顔までは想像してなくても、旦那さん以外とセックスを想像してたから、案外すんなり受け入れられたのかもね。」
木崎はまいに寝取られに対する適応能力がある事を刷り込んで行きました。
いや、寝取られというより『浮気』なのかもしれません。
「まいさんは旦那さん以外の人とセックスはしたくない。でも想像では他の男ともセックスしてる。これって矛盾してないかな?」
この言葉はまいの心に突き刺さりました。
「でも…………それでもやっぱり他の人となんて…………」
まいは木崎の言葉を受け入れられずにいました。
「そうか…………じゃあ少し試してみるね」
そう言うと、木崎は左手でまいの手首を掴み、右手の指先でまいの腕をスゥーっと刺激しました。
「あっ!やっ!」
手を振り払おうとするまいでしたが、木崎の力には敵いません。
「ほらね……相手が私でも身体は正直に反応するんだよ……」
「ち、、、違う!あんっ!!」
木崎の手がまいの首筋に触れると、まいの身体は一際大きく反応しました。
そしてその反応は、拒絶ではなく悦び。
まいの身体はそれまでの会話により、ほんの少しの刺激にも敏感に反応するようになっていたのです。
「大丈夫……別にここで脱がしたりしようなんて思わないから…………このまま……もう暫くこのままで……ね?」
手先から首筋にまで何往復か移動させた後、木崎の手はまいの首筋を中心に動き出しました。
緊張と恥ずかしさからか、まいの顔は紅潮しています。
木崎がまいの頬に触れると、まいの顔はひどく熱を持っていました。
木崎はそのまままいの耳を愛撫し始めました。
身を捩って反応するまいでしたが、木崎から逃れようとはしません。
この時点で、まいの心も身体も木崎を受け入れていました。
しかしまだ確信が持てない木崎。
まいの頬に手を当て、じっとまいを見詰めました。
まいは恥ずかしそうに視線を下に向けましたが、次の瞬間、木崎の顔が近付いてくるのが視界に入りました。
【チュッ】
いきなりのキスでした。
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