結局夏希はほとんど食べ物を口にしなかった。
せっかくダイエットして細くなった体にモノを入れたくなかったのだ。
男性社員があらかた食事を終えると大きなビニール袋を用意して紙皿とビールの空き缶を回収した。
「一ノ瀬さん、僕も手伝いますよ」
酒が入って赤くなった顔の飯田が手伝おうと立ち上がる。
「いいの飯田くんはのんびりしてて。こういうのは女の仕事だから」
この面倒見の良さと奥ゆかしさが夏希のもう一つの魅力であった。
見た目の美しさとは逆に控え目でそして時には冗談も言える明るい性格は誰にも愛されていた。
「じゃあ片付け終わったらビーチボールでバレーやりましょ!」
飯田が夏希に声をかけると周りの社員達も賛同した。
「うん、じゃあこれ片付けちゃうね」
そう言い残すとビニール袋の口を閉じ海の家に置いてきた。
「一ノ瀬さん、せっかくだから・・・脱ぎません?そのTシャツと短パン」
意を決して飯田が言った。
「おっ、よく言った!」
「お前根性あるな!」
「これで異動確実だな!」
なと周りの社員がヤジを飛ばす。
「もう、分かったから!」
そう言うと夏希は周りの社員を見渡しTシャツの裾に手をかけた。
「女の人が服を脱ぐときそんなにジロジロ見るかなぁ」
まんざらでもなさそうにTシャツと短パンを脱ぐと刺激的な白のビキニから長くしなやかな肢体が伸びている。
一瞬水を打ったように静かになる男性社員たち。
「あれ?刺激的過ぎた?」
おどけて見せる夏希は自分に向けられる視線に体の奥が熱く疼くのを感じた。
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