翌日から平日の夜はほぼ毎日のようにやって来て、セックス三昧の日々が続いた。
ひろ美には、三人の娘達がいた。
出会った当時は、上から18、16、14歳。
長女の大学受験で、家の中がピリピリしていたそうで、ひろ美もストレスを抱えていたようだ。
そんな時に俺と出会って関係を持つようになると、普段
父親のいない家庭も落ち着きただし、娘たちとの関係も平穏さを取り戻したそうだ。
頻繁に俺のところへ通う母親をいぶかしく思わないのか気になっていたある日、ひろ美が長女の千鶴を連れておかずが余ったから食べてと持ってきた。
「所長、これ口に合うか分からないけど食べてください」
「ああ、ありがとう、何を作ろうか迷ってて助かるよ」
「千鶴、ご挨拶しなさい」
「初めまして、母がいつもお世話になってすみません。上手く出来たか分からないけど、その肉じゃが私が作ったんです」
「そうなの、それはわざわざ気を使ってもらって済まないね、しっかりいただくよ。上がってお茶でも入れるから」
「いいですよ所長、受験勉強あるみたいだし」
「せっかくだからいただいて行こうよ、気分転換もしたいし」
「どうぞどうぞ、俺は暇だから、ここで良ければ息抜きしていって」
「ごめんなさい、うちの子我儘で、躾が出来てないのかな?」
「いいから、入って」
二人を入れて、お茶を入れながら
「千鶴ちゃんはどこを受験するの?」
「地元の国立です。学校の先生になりたくて」
「へえ、お勉強出来るんだね、自信はあるのかな?」
「模擬試験は合格ラインなんだけど、奨学金特待生狙ってるんで、まだ少し足らないんです」
「所長はどこの大学行ってたんですか?私は高卒だから子供達は大学出てもらいたくて働いてるけど」
「名もない三流だよ、本当は獣医になりたかったんだけど、高三の時遊んでしまったからね、○○大だよ」
「偏差値高いとこですよね、獣医って難しいんでしょ?」
「6年通う学費もなかったからね、後輩達は相当偏差値上げてくれたみたいだけど、俺の頃はバカ大学だったよ」
「そんなことないです、凄いなあ、ママ所長さん凄く頭のいい大学でてらしたんだよ。勉強教えてもらいたいなぁ」
「何言ってるの、迷惑よ」
「何十年も前のことだから、受験勉強レベルは分からないよ」
「私理科系が苦手で、所長さん理科系だからちょうどいいのに、そうだちょっと家に行ってくるから待ってて」
千鶴が何か思い付いた様子で家に戻った。
「たっちゃんごめんなさい、どんな人か会ってみたいって聞かないものだから連れて来ちゃって」
「可愛いじゃない、君に似て美人さんだしもてるんじゃないの?」
「まだまだネンネで、色気が無いみたいで、かえって心配なんですよ。ねえ、今日は出来ないけど明日は大丈夫でしょ」
「いいけど、怪しまれてないの?」
「だから、今日は特別紳士に振る舞ってね、人柄のいい上司って印象を植付けてほしいの」
「何かあったの?」
「ご飯の時、あの子冗談でママ所長さんが好きなんでしょって、パパといっしょにしちゃ失礼よって嗜めたら、会ってみたいっ言い出して聞かなかったのよ」
「ふ~ん、事情はだいたいわかるけど、しばらくおとなしくしてないと気付かれるよ」
「嫌だ、ストレス溜まっちゃうわ、何とか切り抜けようよ」
「難しいなぁ、利発な子みたいだし、とにかく受験終わるまでひっそりしてた方が無難だよ。俺も我慢するから」
すぐに千鶴が戻ってきた。
「所長さん、この数学の問題わかりますか?」
「何かな、おっ微分方程式の応用か、どれどれ」
昔とった杵柄というのだろう、意外と簡単に解けた。
「やっぱり凄いなあ、この問題解けるなんて凄い、時々教えてもらっていいですか?」
「千鶴、ダメよ迷惑だから、図々しいにもほどがあるわよ」
「だって塾にも通えないし、教えてくれそうな人いないんだもん」
「いいよ、その代わり曜日を決めて2時間ね、ただにするとお母さんの気が引けるだろうから、ご飯のおかずを差し入れてくれたらそれでチャラ」
「やったあ、ママいいでしょ」
「所長、いいんですか?おかずくらいなら毎日持ってきます。お願いできますか?」
「OK、火曜と木曜の8時から10時でどうかな」
「はい、お願いします。ママ私頑張るからね」
「我儘言って所長を困らせないのよ、ママの上司に家庭教師お願いすることになるなんて思いもしなかったわ」
「だって、パパ帰ってきても教えてくれないし、元々勉強嫌いみたいだしさ、うちの親は仲良くないみたいだしねっ」
結構気の強い性格のようだが、成り行き上仕方ない。これでカモフラージュ出来ればそれでいいと思った。
「じゃあ明日の火曜からでいいかな?」
「は~い、お願いします」
「本当にすみません。よろしくお願いします。さ、帰るわよ、今日は家でしっかり勉強してね」
その場しのぎが、後々変な展開に広がっていくことを三人共わかっていなかった。
家に帰ったひろ美からLINEが来た。
「火曜と木曜はダメってことね、月曜、水曜、金曜は必ず理由をつけて行きますから」
「バレるようなことはしちゃダメだよ、千鶴ちゃん賢いからすぐに感付くから」
「わかってます、ちゃんと言って聞かせますから」
「とにかく、仕事を理由にするとすぐにボロが出るよ、他の理由を考えてね、俺も何か考えておくよ」
「もう、ウズウズしちゃってる、明後日必ずね」
「ああわかったよ」
翌日、約束通り千鶴が俺の部屋を訪ねて来た。少し早めにおかずのメンチカツとサラダを持って。
「いらっしゃい、入って」
「お邪魔します、これ、ママからです」
「上手そうだな、いいぃさっと食べてからでいいかな?」
「はい、待ってます」
早飯食いはお手のもので、あっという間にたいらげた。
「ふう、旨かったよ、お母さんに美味しかったって伝えてね」
「はい、ママの料理は私たちも大好きなんです。今度はグラタンとかどうですか?」
「いいね、期待してます。じゃあ始めようか」
この日は数学と化学のわからないところを教えて、しっかり理解した様子だった。
「所長さん、頭いいんですね、何年経っても覚えてるなんて凄いなあ」
「仕事柄こういうのは年に何度か使うんだよ、役所に提出する資料に必要なことがあるんだ」
「じゃあ現役みたいですね」
「近いかもね、これから君のお母さんにも教えていかないといけないんだよ。俺の仕事を少しずつ覚えてってもらわないといけないから」
「なんでママが勉強しなきゃいけないの?」
「いつまでも現場の課長じゃもったいないだろ、次長とか部長に出世してもらわないと俺がしんどいからね」
「ママは知ってるのかな?」
「まだ内緒だよ、君のお母さんは学歴は高卒だけど、仕事は下手な大卒より出来るし、優秀だからね」
「じゃあ親子で教えてもらえるってこと?」
「また先のことだけどね、まずは千鶴ちゃんが希望校に合格してから」
「そっか、わかりました」
「じゃあ、1年生の時の数学と化学のテキストを今度持ってきて、しばらく借りたいから」
「何に使うの?」
「お母さんに教える準備をするんだ、効率よく教えないと時間が勿体ないからね。仕事と家事しながら勉強してもらうことになるから」
「ママってそんなに仕事出来るんですか?」
「10年に1人くらいの逸材だね」
「何だかそう言われると嬉しいな、ママに言ってもいいですか?」
「まだだよ、まあ、良く頑張ってるって誉めてたよくらいはいいか」
「なんかお仕事って面倒ですね」
「面倒だから仕事なんだよ、そのうちわかるよ」
家庭教師初日を終えて帰っていった。
すぐにひろ美からLINE
「ありがとうございました、分かりやすくて良かったって喜んでます」
「良かった、今度は君の番だよ」
「えっ、どういうこと?」
「千鶴ちゃんに、君を出世させるために仕事に必要な勉強をしてもらうって吹き込んでおいた」
「そんな嘘バレるわよ」
「嘘じゃないよ、来週から実行するよ」
「やだ、勉強苦手だもん」
「ははは、大丈夫だよ、任せておいて」
「明日はとにかく夜行きますから、千鶴は友達の家で勉強するらしいから」
「明日会社で話すよ」
朝からひろ美と打合せのため会議室にこもる。
「昨日の話だけど、大川さんには来春を目標に課長から次長を目指してもらいます。俺の右腕になってもらいます」
「真剣に言ってます?」
「はい、君ほどの技量ならやれます。これから少し基本的な勉強をしてもらうことになるけど、俺が教えるから安心して」
「それって、本当に仕事としてですか?」
「当たり前です。千鶴ちゃんにテキスト借りて教えることにしました。来週から朝1時間、帰宅後2時間の時間を作ってください」
「えっ、娘達に協力させないと難しいです。時間ください」
「今週中に答をください」
「わかりました。ところで、今晩大丈夫ですか?」
「会社でその話はダメだよ、でもOK」
俺の魂胆が理解仕切れていないひろ美を仕事に戻し、俺も来客に追われて一日が過ぎた。
娘達に夕食を食べさせ、千鶴の夜食を置いてからひろ美がやって来た。
「もう、何が何だか分からないじゃない、教えて」
「千鶴ちゃんに君を出世させたいから、そのために勉強してもらう、そういったのさ」
「本気?口実?」
「両方」
「やだ、勉強は嫌いだもん」
「セックスしたくないの?」
「したいけど」
「ならいい、ほらしよう」
「ああん、私我慢してたのよ」
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