君子、そして博子 3
翌、日曜日、オバサンと2人 最寄の駅に着いた。
オバサンは ふくらはぎが隠れたそぅな程の長いスカートを履いている。
上は カットソー? と言うのか 丈の短いものを着ている。このカットソーは初めて見るが スカートは以前 病院に乗せてって貰った時にも見た様な気がする。
が、何かが違う 何処がどう とかはハッキリしないが、何となく雰囲気がちがった。
日◎里駅、9時半過ぎには着いた。
約束どおり 山手線外回り ホームの先頭で 博子さんをまった。
「来るかなぁ?、博子さん」
「来る。絶対来るわ博子」
「…だと良いけど」
「オバサン?、そのスカート…、何て言うか」
「これ?」
「前にも見たでしょ?」
「何か健ちゃん 好きそぅだったから これ…、どぅかしら?」
と、クルッと回ってみせた。
「ん?、何となく雰囲気が違って見える。やっぱり その… 履いてないの?今日も」
「そぅよぉ」
「見る?、って言っても ここじゃ無理かぁ」
「どぅせ来るんだから 早く来れば良いのに 博子ったら…」
オバサンは そんな事を言っていたが 肝心の博子さんは なかなか現れなかった。
携帯電話はおろか自動車電話ですら めったに見なかった時代 ただただ待つしかなかった。
博子さんが姿を現したのは10:28。
10時前には着いてたものの 『…どぅしようか?…』と、ホームの最後方で悩んでいたのだそぅだ。
『決戦に備えて 上野か何処かで 腹ごしらえ!、どぅお?』
オバサンの提案で上野に向かって電車に乗った。
「悩みに悩んで…って 30分も待たせてくれた割には 今日も一段と気合いが入ってるじゃない?博子」
「もぉ、それは言わないでよ」
「そぅ言う君子だって そのスカート、手直ししたでしょ?、前は そんなにスリット深くなかったもの、でしょう?」
君子
「そっ、ついでにウエストも少し絞ったの」
「旦那様は 雰囲気が違うって ねっ?」
俺
「だから違って見えたんだ?」
博子
「君子、あんた今日も?(履いてないの?)」
君子
「当然でしょ、言いつけ だもの」
「着くとこ着いたら 貴女になんか構ってあげないわよ、こんな日 滅多にないんだから」
「欲しかったら欲しいって自分から来るのね」
そんな会話をしながら公園を抜けた。
聞けば オバサンのスカートは ウエストを詰めてスリットを深くして 深くした部分には隠しボタンを付けて調節出来る様にしてあるらしい、それが今は全開 少し屈めば見えてしまう、その位 切れ込んでいた。
君子
「何食べたい?、健ちゃん」
俺
「何でも…」
君子
「なら 少し『精』を付けて貰って 焼肉なんてどぅお?。アメ横の辺りで探そうか?」
俺
「何でも…、任せるよ おまえに」
君子
「じゃあ決まり」
「博子も良いわよね?」
「…って 文句なんて言わせないけど」
博子
「はい はい」
「あっ!ちょっと待って」
オバサンが立ち止まったのは メガネ屋さんだった。
「んーン、ちょっと違うわねぇ」
「これも どぅなのかしら?」
「ねぇ、どぅ思う?博子ォ」
オバサンは 俺の顔に次々とサングラスを掛けてゆく。
『息子さんにでしたら こちらなど如何でしょう?、お似合いになるかと…』
と、女性の店員さんが 1本のサングラスを差しだしてきた。
「すぐに掛けるから タグとか取って下さいます?」
結局 そのRay-Banのサングラスを オバサンが買ってくれた。
「うん!、どっから見ても高校生には見えないわ、ね?博子」
「…にしてもさぁ、『息子』だって?健ちゃん」と、オバサンが微笑っていた。
『デートらしいデートなんて した事ないから、ね? 健ちゃん?』
そんな事を言いながら オバサンは ハシャイでいた。
あちこちの店先で 商品を物色しては 屈んだり しゃがんだり、今にも見えそぅな その仕草に こっちがハラハラさせられた。
博子さんは博子さんで、大声で笑ったかと思えば 口数が少なくなったり、心境は複雑なのかなぁ?、そんな感じだった。
焼肉を食べたあと、そんなふうにアメ横界隈をブラブラと歩いた。
御徒町から電車に乗った、目指すは鶯谷。
2人によれば そこは風俗の街 らしい。
昨日 あれからオバサンは『3人で入れる』ホテルを 旦那さんが買ってきた週刊誌を頼りに 電話して探したのだそぅだ。
「何ぁに?、貴女だって ちゃんと準備してきてんじゃないの!?」
と、オバサンが博子さんを からかっていた。
3人とも サングラスを掛けて 鶯谷の駅におりた。
夜になれば きっと『きらびやか』な街になるのだろう?、赤や黄色の電球が取り付けられた立て看板が そこかしこに並んでいた。
3人で とあるホテルに入った。
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