君子、そして博子 13
今日は土曜日。
隔週で休みの母親が朝から居る。
『オバサン手伝ってくるから』
そぅ言って10時位に家を出た。
母の目を気にして わざわざ玄関に回った。
『オバサぁン?』そう声をかけると、『どぅぞぉ』と奥から声がした。
ドレッサーの前で すでに須藤が化粧をして貰っている。
ドレッサーの向こうに回った綿貫が マジマジと2人の様子を伺っていた。
鏡の中で 少しずつ綺麗になってゆく須藤から
俺は目を離せずにいた。
その鏡の中の須藤と何度も視線がぶつかった。
「こんなモンかな?」
「どぅお?君代ちゃん?、幸ちゃんも…」
「この位なら オバサンにも出来るけど…」
「凄い、凄く綺麗 君代さん」
綿貫が そぅ感心していた。
「ゴメンなさい 君子さん」
「…トイレ」と 須藤がモジモジしている。
「あっ、そうね、長い事かかっちゃったもんね。教えてあげて 健ちゃん」
「はい じゃぁ、次は幸ちゃん、座って」
促されるまま椅子に座った綿貫 オバサンは綿貫の化粧をはじめた。
「こっち…、須藤」
「ありがとう 山根」
須藤は俺のあとをついてきた。
「そこ、そこの扉」
「うん、ありがとう」
「… … …」
俺の前を通りすぎる須藤の手を無言で掴んだ。
手首を掴んだまま引き寄せた須藤に そっと顔を寄せた。
須藤は ただジッと俺を見て 首を振った。
「嫌、今は嫌ッ」
「(口紅が)落ちたらバレちゃうから…」
俺をジッと見たままの須藤が そう言って 首を振った。
化粧を終えた2人。
可愛いらしぃ装いの綿貫が 少しアンバランスにも見えた。
が、須藤は…、大人っぽい服装も手伝って とても女子高生には見えない、結構[さま]になって見えた。
みんなで昼食に出掛けた。
お母さんと1男2女、はたまた お姉ちゃんの彼氏、そんな風に周りには見えていたのかも知れない。
4人でファミレスに入った。
俺と綿貫が[関係が有る]事を オバサンも須藤も知っている。が、綿貫は その2人が… ましてオバサンが その事を知っているとは思ってもいないだろう?。
そして 綿貫も須藤も いま俺の隣に座っているオバサンと俺が[関係が有る]事は知らない。俺からは この3人が 奇妙な三角関係に思えた。
そして今 この俺の左手が
『何でも食べたい物 頼んでね…』そぅ言ってメニューを見ているオバサンの お尻の下にある事など…、オバサンに[悪さ]をしている事を、テーブルが遮ってくれているおかげで きっと気が付いては いないだろう?
『ピクッ』、そぅ時々 オバサンの尻タブに 力が入るのが伝わってくる。
[言いつけ]どおりに オバサンは この時も 履いては来なかった。スカートの上からでも 手から伝わる[感触]で それが解るようになっていた。
『ピクッ』と震えたオバサンが 抱え込む様に ひたいに手を当てた。
「大丈夫?君子さん?」
綿貫が心配そぅにしている。
「ん?」
「大丈夫、大丈夫よ」
「ありがとう、幸ちゃん」
そぅ答えたオバサンの声は 少し震えている様に思えた。
「そぅ言えば 2人とも 同じ所でバイトしてるんでしょ?、シフトも一緒?」
「昨日と今日は たまたまです」
「基本 土日以外はバラバラなんです」
「土日の方が時給も良いし」
「今 夏休みでしょ、小さい子どもさんが居ると抜けるお母さん達が多いみたいで シフト組むのが大変だって…」
「旦那さんとかも 土日は家に居るしね?」
「そぅ みたいですね」
「なので 明日は2人一緒」
「で、私は月曜日もバイトだけど君代さんは お休み。ホント バラバラなんです」
オバサンの問いかけに 綿貫が そう答えていた。
『…だからか…』、さっき ここに来る前 須藤に渡した電話番号、『月曜日の朝に電話する』、そぅ言って受け取った須藤の『月曜日』の謎が解けた。
『それじゃ、帰りましょ』
『貴女達は?、3人でデート?』
『いえ、今日は帰ります』
オバサン達の そんなやり取りを小耳に乗った車の時計は4時になろぅとしていた。
『女同士の話は長い』、いつか父親が言って事を実感した。
『結局 今日は何も無かった…』
そんな事を思いながら ベッドに転がって天井を見上げていた。
[月曜日]、ホントに須藤は電話をくれるんだろうか?
『今は嫌』、その[今は…]は、後でなら…とか、違う所で…とか、そんなふうに変換しても良いのだろうか?
もしかしたら それが[月曜日]なんだろうか?
そんな事ばかりが頭の中でグルグルと回った。
でも…、明日…、明日は どぅしよう?
一日中 母親の顔は見たくないし…。
そぅだ[博子さん]、博子さん家に行こう。
そぅ思ってはみても また 電話番号、電話番号を知らないのが悔しかった。
「健一、健一ぃ、ご飯よぉ」
モヤモヤと どぅにもならない思いで居ると 母親の呼ぶ声がした。
ご飯を済ませ またベッドの転がった。
『お風呂 入っちゃって』、母親の声にも
『入るからッ』そう面倒くさそぅに答えた。
風呂からあがって、どの位 ボーッとしていただろうか?、『トントン』と誰かが窓を叩いた。案の定、それはオバサンだった。
『もぉお、あのまま 帰っちゃうんだもの 健ちゃんたらッ』
『どぅしてくれるの?、あんなに悪戯してくれたくせに…』
『昨日も そう、ウチの人が居るのに…。いっくら寝てるからって あんな事。もお おかしくなりそぅだったわよ、どうしてくれるの?』
と、オバサンは小声だったが その口調は 少々[お冠]の様だった。
俺は 部屋の電気を消して そぉぉっと 窓から外に出て オバサンに連れられて 勝手口からオバサンの家に入った。
オジサンは 今夜も何処かで大型トラックを走らせていると言う。
俺は 昨日 オジサンが寝ていたベッドに押し倒された。
「ねぇオバサン?」
俺に覆い被さったオバサンに聞いた。
「何ぁに?」
「昨日 あのあと オジサンの事も こうやって 押し倒したの?」
「気になるの?健ちゃん?」
「ふふ 教えてあげない…」
そぅ嗤ったオバサンが 俺の唇を塞いだ。
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