君子、そして博子 10
須藤は ただ黙って真っ直ぐに俺を見ている。
須藤の手を握ったまま 自然に その須藤に吸い寄せられる。
須藤の顔に近づき もぅ須藤の瞳しか 俺の目に映るものはない…。
「ゴメン山根」
「私 やっぱり…」
そぅ言った須藤の顔が 突然 横を向いた。
俺は ただ 後退りするしかなかった。
重たい空気に支配された。
だが、俺は須藤の手を離せずにいた。
須藤もまた その手を振りほどこぅとは しなかった。
「帰るか?須藤?」
「手 繋いで帰ろっか?、このまま」
「なぁ山根?」
「あんた やっぱり馬鹿?」
「どぅやってチャリ押すの?、手繋いで…」
「馬っ鹿じゃないの?」
それ以上 須藤との進展は無かった。
ただ1つ変わった事と言えば 須藤と綿貫の[距離]が グッと縮まった、そんなふぅに見えた。
今では 昼休みも 殆ど2人で居る、屈託の無い笑顔で…。
そんなある日、「君代?、君代ってばぁ」と、例の先輩達がズカズカと教室に入ってきた。
「放課後なんだかどさぁ…」と、1人の先輩が須藤を誘っている。
「ゴメン、放課後は たぬ子と…」
須藤は そぅ断っていた。
「山根?くんだっけ?」
「あんた 君代の事 フッたんでしょ?」
「何で?、フッといて まだ遊んでんの?」
「君代も君代よ、こんなガキと遊んでて 楽しいの?、こんな奴等ほっといて行こうよ君代」
「◎◎先輩達も来るしさぁ、ね?」
何だか無性に[カチン]と来た。
「ゴメン、先輩、[ふられたの]は俺の方なんですけど、須藤に…」
「だいち 何 ズカズカと入って来てんすか?、ここ俺らの教室っすよ」
「… … … …」
「そうだ、須藤と綿貫 帰りに寄る所が有るらしいんで 俺 暇なんすよ」
「2人でウチ来ません?、ウチ 親も 帰り遅いし…。その◎◎先輩より きっと先輩達の事 悦ばせてあげる自信あるだけどなぁ、来ません?2人一緒に…」
「その、何なら 3人で…、ねぇ来ません?」
「山根って言ったっけ?」
「お前 自分で言ってる事 分かってんの?」
「なに 大人ぶってんだよ、え?」
もぅ片方の先輩の顔つきが変わった。
「分かってますよ」
「変態 あっち行けよ!、って話しも聞いてくんなくて こいつ等」
「お願いしますよ先輩たち ウチ行きましょ3人で…、ガキの相手 して下さいよ、ね?、絶対 悦ばせてあげますから」
「馬ッ鹿じゃねぇの お前」
「行こ、◎◎子」
と、先輩達が帰って行った。
「馬鹿か?山根」
「私と たぬ子まで 変態だと思われたら どぅしてくれんだよ、馬ぁ鹿」
そう 須藤が微笑っていた。
相変わらず 帰ってすぐに カバンを放り投げ [勝手口]を開けて…。
それが[日課]の様に続いていた。
オバサンが[あの日]の時には 前に生理用品を入れて[後ろで…]、そんな日も有った。
週末、博子さんがオバサン家に遊びに来てる時には コッソリ窓から抜け出して…、そんな時もあった。
もうすぐ 夏休み。
さあ どぅしよう?
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