僕はある部屋へと連れて行かれました。そこには大きなベッドがあり、女性の雰囲気はありません。香緒里さんの寝室ではないようです。
『少し待っててくれる?もう寝てていいよ。』と言われ、僕は一人にされてしまいます。もちろん、眠れる訳もなく、とりあえず布団の中へと入ります。
部屋は大きく静かなため、どこか不気味さを感じます。オバケが怖いのではなく、人の使っている気配がこの部屋には感じられないのです。
立ち上がり、部屋を眺めていた時、扉が開いて香緒里さんが現れます。そんな彼女に、『ここ、おじさんの部屋?『 と聞いてみます。
彼女は『違うよ。』と答えましたが、その先を語ることはありません。だって、この部屋は夫婦の営みのためにだけにある部屋なのですから。
彼女が布団をめくり、僕が先に入れられる。遅れて彼女が入って来るが、その光景が不自然に感じてしまう。
彼女が、あまりにも自然過ぎるのだ。これからセックスをしようと言うのに、落ち着き払っていて、それが僕の目には変に映ったのだ。
これが『妻』というものなのだろう。
『何時に起こそうか?』と香緒里さんが聞いて来る。『7時くらい。』と答えたが、彼女の持つ目覚まし時計は6時半にセットをされた。
リモコンで照明が消され、僕は一度目を閉じた。香緒里さんから、何らかのアクションがあると考えたからだ。
しかし、その時間はなかなか訪れず、僕は『どうしようか?』と考え始めていた。その時、上を向いて寝ていた彼女の身体が、僕の方へ少しだけ傾く。
彼女の手は僕の腕に触れ、その手がまだ彼女が起きていることを示していた。僕は、香緒里さんの身体の上へと乗り掛かります。
『うぅ~ん…、』と悩ましい声が上がると、遠慮気味のだった僕に、スイッチが押されるのです。
手を押さえつけ、香緒里さんの唇を奪っていました。心の中が、『欲しい、欲しい、』と呟きます。
彼女の舌が押し返してくるなか、突然僅かな照明に照らされます。見れば、彼女の延ばした手がスタンド照明のスイッチを押しています。
オレンジ色に包まれた中、二人のキスは続けられました。明かりで、彼女の上を向いたブタ鼻もしっかりも見えています。
そして、見えた彼女の目。僕の目を見続け、離れることがありません。その目が少し緩みます。
『抱いて欲しい…。いっぱいして欲しい…。』、香緒里さんからのお願いでした。
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