泣き崩れるタカコを残して寝室を出た。
アルコールを口にしなければやっていられない気分だ。
しばらくたってタカコが泣き腫らした顔をして寝室から出てきた。
しかもタカコは全裸の姿で、張り詰めた乳房を揺らしながら、、、
「なんのつもりだ?」
「わかりました、、、別れます、、、その代わり、もう一度だけ抱いて下さい、、、あの男とも別れます、、、タカシに最後に抱かれた思い出だけを胸に抱いて、これから一人で生きていきます、、、もう他の男には指一本触れさせません、、、」
開いた口がふさがらない。
この期に及んで躰で俺を言いくるめようとでも考えているのか、、、
そもそもお前みたいな淫乱女が男を絶つ、そんなこと出来るわけがないだろうと呆れてしまう。
「他の男に中出しされた躰でよくそんなことが言えるな、、、俺にその汚れた躰をもう見せないでくれ、、、またお前たちの動物みたいなセックスを思い出してしまうから、早く服をきろ、、、」
タカコは絶望した表情を浮かべ、近くにあった部屋着をノロノロと身につけた。
「お願い、、、もう今日は遅いから、出て行くのは明日にしていいですか?お願いします、、、」
「わかった、、、俺が会社から帰ってくるまでに出て行ってくれればいい、、、」
そう言ってタカコに背を向けソファに横になった。
背中からタカコがすすり泣く声が聞こえた。
泣きたいのはこちらの方だ。
朝目を覚ますと自分の体に毛布がかけられていた。
タカコも別のソファで毛布にくるまり眠っている。
まだ時間は早いがタカコが目を覚ます前に、素早く出勤の準備をして家を出た。
タカコに気遣った訳ではない。
ただ話をしたくなかっただけだった。
目覚めたタカコは俺が会社に行ってしまったのを知って、再び自分の置かれている現実を実感するはすだ。
そしてあの男に連絡を取るはずだ。
救いの手を差し伸べてくれるのを期待して。
でもあのクズ男のことだ、自分の立場だけを考えてタカコとの関係を切るだろう。
タカコは恋愛関係にあると錯覚しているが、ヤツに取ってはただの欲望を満たすための道具に過ぎないからだ。
最初から不味いことになれば切り捨てるつもりでいたに違いない。
女房にひたすら頭を下げ、女と手を切り、許しを請う。
そしてほとぼりが冷めるのを待って新たな獲物を手に入れ、今度は妻にバレないように関係を続けようとするだろう。
最初から相手は別にタカコでなくても全く構わなかったはずだ。
たまたまタカコが美人で、いい躰をしていて、堕としやすかっただけのことだ。
だから現に他にも女がいる。
哀れなものだ。
男の正体を知って再びタカコは現実の壁にぶつかることになる。
ほのかに期待していた恋しい男との未来を惨めにも打ち砕かれたタカコはどうするのか?
それも予想はついていた。
俺は仕事を終え、同僚を誘い外食を兼ね酒を飲んだ。
いつになく酔いがまわり、家に着いたのは11時を過ぎていた。
つづく
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