ナツナは意を決して再び部長に別れを告げた。
その意志の固さに、遂に部長は渋々別れることを了承した。
そして別れを認める条件があの旅行だった。
旅行のあいだ部長に恋人のように尽くし、満足させること。
そうすれば、これを最後にタカシには秘密に関係を終わらせる約束だった。
でも結局はナツナは騙されていた。
部長の罠にまんまとはまり、最悪の事態を迎えてしまった。
あれからすぐ宿を出てタカシを追ったが、追いつくことは出来なかった。
タカシを傷つけることをしてしまったこと、何もかもすべて後悔している。
許してもらおうなどと大それたことは考えていない。
ただ一度だけでいいから、会って謝りたい。
本当に愛しているのはタカシ一人だけだと想いが連ねられた手紙だった。
だがタカシの決心は揺らがなかった。
手紙をビリビリに引きちぎり燃やした。
ナツナを信じることも許すこともまったく出来ない。
いつの間にか涙が溢れていた。
二度と女を好きにならないと心に誓った。
つづく
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