そんな中、ナツナから手紙が届いた。
話す手だてが無いナツナが最後の手段に出たということだろう。
最初は読まずに燃やしてやろうと思った。
でも結局は目を通した。
そこには、タカシに対する謝罪と部長との関わりが書かれていた。
始まりはタカシの結婚式からだった。
どうしても抑えきれない寂しさに付け入られ、式の後の飲み会で部長に勧められるままアルコールを口にしたナツナは、気が付いたときにはホテルに連れ込まれていた。
部長の以前から好きだったという言葉にほだされ、寂しさを埋めるように部長を受け入れ処女を捧げていた。
部長に妻子がいることを知りながらも、タカシの幸せそうな結婚生活を目の当たりにして、やり切れない気持ちから関係を続けてしまった。
躰が女の歓びを覚えるようになって、愛している、いずれ妻とは別れるからその時は結婚してくれと何度も告げられている内に、いつしか部長にのめり込み、愛情を感じるようになっていった。
本当は奥さんとは別れる気など相当も無いことを薄々感じながら。
そんなナツナだったが、それでもタカシのことだけは忘れられず、ずっと心に想い続けていた。
本当にどうしようもないほどタカシのことが好きで、男を知ってからはタカコには悪いが、タカシを誘って男と女の関係を持ちたいと思ったことが何度もあった。
そんなとき、タカコの浮気を知った。
いけないと思いながら、もう自分の想いを抑えることは出来なかった。
それを理由にタカシに接近して、自分の気持ちをいつか告げよう、そう心に決めた。
タカシのそばにいるだけで幸せな気持ちでいられる。
タカシのことが益々好きになっていった。
だから初めてタカシに抱かれたとき、部長との関係を終わらせる決心をした。
だが部長は受け入れてくれず、逆にタカシにすべてを告げると脅され、関係を続けるよう強要された。
タカシに部長のことを聞かれたときに、すべてを打ち明ければ良かったと今でも後悔している。
でもあの時はタカシには絶対に知られたくない、嫌われたく無い気持ちでいっぱいだった。
そしてタカシを愛しているのに、部長に抱かれると感じてしまう自分が嫌いでしょうが無かった。
でもプロポーズされたとき、嬉しくて天にも昇る気持ちになって、部長とのことは絶対に終わらせなければと決心した。
つづく
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