二人は互いに夢中になった。
デートを重ね二人は関係をより深めていった。
それに伴い、ナツナがタカシの家に泊まる機会も増えていった。
ナツナの温かさが、妻に裏切られ荒んだ心を癒してくれる。
セックスも躰の相性が抜群で、二人は飽きることなく求め合った。
そしてナツナはより積極的だったが、それが更にタカシを歓ばせた。
もはやタカシにとってナツナはなくてはなら
ない存在だった。
だが自分がバツイチということとナツナの希望もあり、二人の交際は会社では秘密にしていた。
当然のようにタカシはナツナと一緒の人生を送りたいと思うようになっていった。
果たしてバツイチの俺をナツナは、それを受け入れてくれるだろうか?
でも他の男にはナツナを渡したくない。
タカシは悩んだ末、ナツナにプロポーズする決心をした。
そんなある日、会社で休憩時間にナツナに出会した。
帰りの待ち合わせを確認してナツナはすぐに行ってしまった。
ふと後ろから声をかけられた。
それは親しくしている同僚だった。
「倉木ちゃん、やっぱりいいよな、、、メチャ、カワイイし、胸もデカイし、、、それに最近なんか一段と色っぽくなったよな、、、」
「そうか?」
実は内心、俺もそう思っていた。
そしてそれが誇らしかった。
「また、とぼけるなよ、、、でもあの子はやめておけよ、、、」
「えっ、、、どういうことだ、、、」
「ここだけの話、、、彼女、滝沢部長の愛人らしい、、、」
滝沢部長はタカシの上司だ。
50近い年齢で背は高くないが、年の割に引き締まった体をした渋い二枚目の中年男だ。
仕事は常に抜群の実績を残し、時の権力者といって過言では無い実力を社内で握っている。
その一方その権力をかさにきて、部下をこき使い、思いつきでムチャぶりをして、ミスをすると全て責任をなすりつける。
パワハラ、セクハラ行為を平気で繰り返す鼻持ちならない男だ。
タカシも内心、毛嫌いしていたが、奴に逆らったら全てが終わりになる。
それだけの力を滝沢は持っている。
こんな男には絶対なりたくない。
タカシにそれを思わせるのが滝沢だった。
そんな滝沢が何故かタカシには目をかけてくれているのだが、仕事以外では絶対に関わりを持ちたくない男に違いがなかった。
「まさか、、、ウソだろう?」
「俺も本当かどうかは分からない、、、でもそういう噂だ、、、とにかく部長に睨まれたら終わりだからな、、、彼女には近づかないほうがいい、、、」
タカシは呆然とした。
よりによってあんなヤツと、、、
いやナツナに限ってそんなはずは無い。
そんなことがあり得るはずがない。
そんなの根も葉もないただの噂に過ぎない。
そう思った。
しかし、その後タカシは仕事にまるで身が入
らなかった。
つづく
※元投稿はこちら >>