タカシは仕事に集中した日々を送っていた。
そうしていなければやり切れない出来事があったからだ。
妻のタカコが家を出た。
村木と関係を持ったのだ。
タカコは言い訳をせずに去って行った。
俺も黙ってそれを受け入れ、離婚届を正式に提出した。
報復した気分は全くしなかった。
途中でその気は失せていた。
復讐しようとしても、それは結局自分を苦しめるだけだと、いつしか気付いていた。
そしてタカコが去って、一人で過ごす日々になぜか虚しい気持ちを感じている。
ヤヨイの誘いも何かと理由をつけ断るようになっていった。
どんな理由がは分からないが、あのクズな男が必死になって妻に尽くそうとしていることがヤヨイの話から伝わってきたからだ。
タカコもヤツも、それなりに思うことがあって人生をやり直そうとしている。
それが幸せに繋がるとは限らないが、俺はそれを受け入れることにしようと心に決めた。
ヤヨイは素晴らしい女性だ。
未練が無いといえばウソになるが、ここでケジメをつけなければ、いつか必ず後悔する日がやってくることが分かっていた。
久しぶりに早めに仕事を切り上げ、居酒屋で一人酒を飲んでいた。
奥で三人ほどの女の子たちが楽しそうに話しているのが目に入った。
つづく
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