いけない、、、
どうやら自分は酔いが過ぎているようだ。
余計なことを口にしてしまった。
「もう、寝る、、、」
そう言って部屋を出ようとすると、タカコが顔を赤らめて尋ねてきた。
「あの、、、性欲の処理はいいんですか?」
こいつ、いつからこんなに欲情する女になったんだ、、、
ヤツにそんな躰にされたんだな、、、
「ダメだ、、、お前がウソをつかなくなるまで、お預けだ、、、そんなにしたかったら、ヤツとでも他の男とでもシテくればいい、、、その代わり、家を出てもらう、、、」
「そんなことしません、、、違います、あなたとシタいんです、、、あなたとしかセックスしません、、、」
「フン、、、」
すがるような目で見つめてくるタカコを一人残して俺は部屋を出た。
一週間後、仕事を終え俺は待ち合わせに指定されたカフェで、女と向かい合っていた。
本条ヤヨイ、タカコの浮気相手の妻だ。
俺はヤヨイにいきなり、あいたいと連絡を受けていた。
ヤヨイは正直、報告書にあった写真よりも、老けて見えた。
そして、かなりの美人なのに気の強さが表情に表れていて、近寄りがたい雰囲気が滲み出している。
せっかくの美貌を台無しにしている。
一通りの挨拶を済ませ、俺は尋ねた。
「一体、どういうご用件ですか?」
「夫の浮気を知らせてくれたことに、一応お礼をしなければと思って、、、わたし、情けないことに全く気付いていませんでした、、、」
「そうでしょうね、、、なんと言っていいのか、、、」
「うちの夫が本当にすまないことをしました、、、家庭を持つ女性に手をつけるなんて、本当に申し訳ありません、、、」
素直に頭を下げ謝罪する態度に意外な感じを受ける。
社長令嬢ということで抱いていた先入観は、どうやら違っていたようだ。
むしろ人間らしい親しみを覚えていた。
「頭を下げるのはやめて下さい、、、あなたは悪くない、、、あなたは被害者だ、、、謝る必要なんてありません、、、」
俺の言葉に意外そうな表情を浮かべ見つめてくる。
少しだけホッとしたような、、、しかし、まだ表情には固いものが残っていた。
つづく
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