槌
美代子の顔から受ける印象は、小学生の高学年から あまり変化はなかった。
大きな瞳と大きな鼻は成人男性なら誰もが美人と言っただろうが、心無い小学生の拙い語彙力では『ケバい』以外に表現できなかった。
そして同学年の幼い男達が、その恋心のまま投げかける非道な言葉の数々よりも素直さや語彙力を手に入れるよりも早く、醜い中年男の性欲が美代子を見つけた。
最初の変化は中学に入る前に起こった。
胸が同級生の誰よりも育ったのに、父親は『下着が欲しい」を『ませたガキ』としか理解しなかった。
結果、美代子は同じ学校に通う同じ年代の男子の全てから性的な視線を向けられる。
しかし、その全てを父親の否定により耐え続けていった。
自分に対して性的な視線を向ける男ではなく、そうさせてしまう自分が悪いのだ・・・そう思い込む幼少時代は、その性格を歪ませるのに十分な時間とタイミングと機会を与え続けた。
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