「・・・あ・・・あ、あの・・・」
美代子がベンチに横たわる男に声をかけたのは、それから15分後の事だった。
何度も戸惑い、引き返し、それでも美代子は浮浪者の隣に立った。
おそらく50歳を超えているだろう浮浪者は、寝転んだまま不機嫌そうな表情を浮かべ、突然声をかけてきた女子高生を見上げる。
「あの・・・その・・・あの・・・」
浮浪者の表情が強張るのが、離れている俺からもわかった。
隣に立ち話しかけている美代子の緊張を想像するだけで両手の拳に力が入る。
しかし、そんな俺の緊張を飛び越え、美代子の存在を1ミリも大切にしていない軽薄な金髪の男の圧により、美代子は最悪の言葉を浮浪者に投げかける。
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