一回戦を終え二人は体を寄せ合う。
心地よい余韻に浸りながら、甘えるようにアイナがサトルの胸にすがりついてくる。
「すごくよかった、、、死んじゃうかと思ったよ、、、」
「俺もだよ、、、すごく気持ちよかった、、、」
「わたし、、、サトルに抱かれる度に、どんどん感じるようになってる、、、すごく嬉しい、、、すごく幸せ、、、」
「アイナ、俺も幸せだよ、、、」
アイナの頭を撫でながら、気になっていたことをたずねる。
「アイナ、俺はアイナの二人目の男なのか?」
「そ、そうだよ、、、サトルが二人目の、、、人だよ、、、」
一瞬だけ目を泳がせたアイナをサトルは見逃さなかった。
「本当に?」
「本当だよ、、、、最後、、、まで、、したのはサトルだけだよ、、、」
消え入りそうな声で告げられた言葉にズキンと胸の痛みを覚える。
「じゃあ、、、途中までなら、、いるんだ?」
「お願い、、、嫌いにならないで、、、、わたし、お兄ちゃんに隠し事はしたく無いから、、、全部、正直に話すから、、、」
「嫌いになんかならないよ、、、それに無理に話さなくてもいい、、、、俺と再会する前のことなんだろう?」
「うん、そうだよ、、、、でも、やっぱり聞いて欲しい、、、いつかお兄ちゃんには話さなければならないと、ずっと思っていたから、、、」
サトルはアイナの手を握りしめた。
アイナも強く握り返してくる。
「あの時、、、わたし、どうかしていたの、、、子供が生まれて、、、それなのにあの人は仕事だって、家のことは何もしてくれなくて、、、全部、わたしに押し付けて、、、」
「酷い男だったんだな、、、」
しかも、仕事で忙しいと言いながらも、その実浮気をしまくっていたのだから。
そんなある日、車検の切り替えで車のディーラーが家に訪ねてきた。
そんなことすら、元夫はアイナに押し付けていた。
男は中年だったが温和な風貌で優しく対応してくれた。
打ち合わせをしているうちに、男が自分を女として見つめていることに気付いていた。
日頃寂しさを感じていたアイナは、心の中で少しだけ嬉しさを覚えてしまっていた。
それを見透かしたかのように男はアイナの手を握り、唇を奪った。
アイナは訳も分からないうちに、男の口づけを受け入れていた。
舌を絡め合い、寂しさを忘れるかのように長い口づけをしてしまっていた。
うなじに唇を感じながら、デートに誘われた。
アイナは黙って頷いていた。
つづく
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