アズサは自分の犯した罪の重さに押し潰されそうになっていた。
でもそれも夫に知られたからだ。
もし知られていなければ、自分はあの快楽を享受し続けていた。
愚かな自分を繕い、なんとかして夫の許しを請おうと必死になる。
「それはサトシが生でシタがったから、、、あなた以外とは絶対に妊娠したくなかったから、、、」
「でも、結局はナマでシタよな、、、、しかも中出しで、、、、男の子が欲しいって、叫んでいたよな、、、」
「どう、、どうして、、、あっ、、、」
思い当たる、、、疑った夫がカメラを仕掛けていたことに、、、
全部見られていたんだ、、、
サトシとの浮気セックスにのめり込むわたしを、、、
夫に知られるはずがないと思い込み、サトシに愛されたい一心で数え切れないほど、夫を蔑ろにした言葉を口にした。
サトシのほうがずっと好き、、、
サトシとのセックスの方がずっと気持ちイイ、、、、
サトシのチ○ポの方がずっとスゴイ、、、
もうサトシとしかシタくない、、、
全部、夫は知っているんだ、、、
もう無理かも知れない、、、
こんなわたしを許してくれるはずがない、、、
でも、、、別れたくない、、、
「もういい、俺はもうお前を愛してなんかいない、、、お前がなんと言おうと別れる、、、、俺よりあいつが好きだと何度も言っていたよ
な、、、、お前はあの男の愛人でも奥さんにでもなればいい、、、好きにしろ、、、」
「違うんです、、、許して下さい、、、何でもします、、、全部、本当のことを話します、、、」
「お前たちの馴れ初めなんか聞きたくもない、、、もうこれ以上、何も知りたくない、、、俺にもう構うな、、、ウン○を見せたいほど奴を愛しているんだろう?二人の未来のことでも考えていたらいい、とにかくお前とは別れる、、、俺たちのあいだにはもう何も無い、、、」
アズサは泣き崩れていた。
こらえていたものを全て吐き出すように。
わたしのせい、わたしが全部悪い、そう言って泣き続けた。
サトルは明日、家を出ると言ってその場を離れた。
アズサは一睡も出来なかった。
頭が真っ白になって考えることが出来ない。
朝がきて、いつも通り朝食の準備をする。
きっと食べてはくれないと思いながら、、、
でも食べてくれれば話をするきっかけになるかも知れない。
藁にもすがる気持ちだった。
夫が起きてきた。
一言も言葉を交わそうとせず、出社の準備をしている。
かすかな期待も空しく、やはり朝食には見向きもしない、、、
アズサは床に正座したまま、手のひらを握りしめ俯いていた。
夫は家を出ようとしていた。
「あなた、待って下さい、、、わたしが家を出ます、、、だから、この家にはあなたが住んで下さい、、、お願いします。」
床に頭を擦りつけるようにして懇願する。
夫がこのまま家を出ることになったら、もう二度と顔を見ることが出来なくなるような気がした。
そんなのは絶対に嫌だ。
罪を犯した自分が勝手なことをと分かっている。
でも別れるとしても、二度と逢えなくなるのは絶対にイヤだった。
「分かった、、、、ただし今日中に出て行ってくれ、、、荷物は俺がいない間に少しずつ運べばいい、、、」
そう言ってサトルは振り返りもせずに家を出た。
静まり返った家の中、もう本当に終わってしまうんだ、、、
夫は全てを知っている。
知っているだけではない。
アズサの浮気セックスそのものを目にしているのだ。
もう絶対に許してくれない。
他の男に抱かれながら、平気で夫への裏切りの言葉を口にしていた自分。
本当に夫を一番愛していると言っても信じてくれるはずがない。
ましてや、その場の雰囲気に流されたとはいえ、サトシの赤ちゃんが欲しいと叫ぶ自分まで見られているのだ。
でもあの時、わたしは本当に流されただけだったのだろうか?
自分でも分からなくなってくる。
わたしは二人の男に愛されて、いい気になって、絶対バレるわけが無いと高をくくっていた。
わたしはサトルの信頼を全て壊してしまった。
もう別れるしかないと思ってしまう。
すごく辛い、、、
サトシの顔が頭に浮かんだ。
こんなときなのにサトシに逢いたい気持ちがこみ上げてきて、抑えることが出来ない。
もうわたしにはサトシしかいない。
サトシの声が聞きたい。
逢うだけでもいい、、、
顔が見たい、、、
夫と別れる原因の男に逢いたいと思うことに躊躇を覚えながら、自分を抑えきれない。
逢いたいだけなんて言い訳だと分かっていた。
サトシに逢い、サトシに躰を求められることを期待していた。
サトシに身を任せ、思い切りセックスに溺れ全てを忘れたかった。
サトシの愛を確認したかった。
今すぐでなくてもいい、、、
奥さんと別れて、いずれわたしだけのものになってくれることを、言葉だけでもいいから聞きたかった。
そしてアズサはサトシに電話した。
「どうした、アズ、、、こんな時間に、、何か用か?」
「うん、、、あのね、サトシの声が聞きたくて、、、」
「ふふっ、この前あったばかりなのに、また俺とシタくなったのか?」
「あのね、、、わたし、別れることになったの、、、あの人と、、、」
「えっ、、急に、、、どうして?」
「サトシのこと、知られちゃった、、、わたしのこと許せないって、、、ねえ、サトシ、これから逢えないかな?少しだけでいいから、、、」
アズサは甘える声でサトシを誘っていた。
サトシの声を聞いただけで心のブレーキが全く利かなくなる。
早くサトシに逢って、その胸に甘えたい。
ナマで思い切りぶちまけて欲しい。
夫とは別れるんだ、、、
今度こそ本当に赤ちゃんができてもいい、、、
「なあ、アズサ、、、俺を巻き込むなよ、、、別れるのはお前たちの問題だろう?」
「えっ、、、」
「だって、俺たち、最初からアソビの関係だろう?違うか?」
「アソビ、、、」
「そうだよ、、、、ア、ソ、ビだよ、、、お互いの家庭には持ち込まない、、、それがルールだろう?」
「ルール、、、アソビ、、、」
「そう、俺たちはルールを守って、お互いのパートナーとは出来ないセックスを楽しんだ。
それだけの関係だ。そのルールをアズが破った。だから俺はアズサとはもう逢わない。もう連絡も無しだ。」
「お願い、一度だけ、もう一度だけ逢って、、お願いよ、、、」
「俺は忙しいんだ、ちゃんとルールを守ってくれる女が他にもいるんだ。もうお前と逢っている時間なんて無い。分かったな。」
電話は一方的にきられてしまった。
アソビ、、、ルール、、、他の女、、、そんな言葉が頭の中で渦巻いていた。
心の奥ではわかっていた。
この男は夫と違って信頼の置ける人間では無いことを、、、
わたしの躰だけを求めているのではないかと疑ったこともあった。
だからこそサトシに愛されていると思い込もうとした。
サトシのどんな要求も、それがおぞましい行為だとしても受け入れた。
サトシの歓心を買うために。
それが夫に対する裏切り行為だと分かっていながら、、、
わたしは本当にバカな女だ。
こんな最低の男に夢中になって、、、
わたしも間違いなく最低の妻だった。
今更ながらに激しい後悔の念に駆られる。
そんなとき電話が鳴った。
高校時代からの友人のアヤからだった。
「アズ、あんた、ヘンな噂が流れているよ、、、」
いきなりそう言われた。
「えっ、どういうこと?」
今は頭がまるで回らないアズサは力無く尋ねる。
「サトシと不倫してるって、、、サトシの言うことを何でもきくセフレになってるって、、、どうやらサトシが言い触らしているみたいだけど、、、そんなのウソでしょう?」
愕然とする。
あの男は、そんなことまで、、、
わたしは本当に単なるおもちゃだったんだ、、、
絶望がアズサを襲う、、、
「、、、ウソじゃ無い、、、」
「えっ、、、どうしてなの?あんなにいいダンナさんがいるのに、、、、とにかく今すぐ別れなさい、あんなクズみたいなヤツ、、、サトルさんにバレたら大変だよ、、、」
アヤはバツ一で今は独身だ。
時々家に遊びに来て、夫のこともよく知っている。
アヤは高校時代からクラス一の美形で、体つきもグラマーだった、スタイルが抜群にいい。
離婚してからも益々美貌に磨きがかかり、抜群のスタイルもあいも変わらず、とにかく男によくモテる。
しかし本人は男はもうこりごりだと言って遠ざけているようだ。
「もう、、、バレちゃった、、、、別れるって、、、サトルに、、言われちゃった、、、」
つづく
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