二人はぐったりとした体を絡め合い、激しいセックスの余韻に浸っていた。
愛おし気に唇を何度も重ね、ネットリと舌を絡め、お互いの愛を確認する二人。
アズサは堕ちた。
完全に男の軍門に降っていた。
更なる性交を促すように、男の足の指先から唇と舌を使って奉仕を始めるアズサ。
夫の俺には一度もそんなことはしたことも無い。
もう戻れない。
俺とアズサはもう以前の二人には戻れない。俺の愛したアズサはもういない。
映像の中で男の声が聞こえてくる。
「アズサ、今夜、ダンナとナマでやっておけ、、、ガキができているかも知れないからな、、、」
「うん、、、サトシの言う通りにする、、、」
初めてアズサに憎しみを覚えた。
誰がお前を抱いたりするもんか、、、
俺たちはもう、、、お終いだ、、、
サトルの心の中の一番大切なモノが砕け散ってしまった気がした。
とうとう受け入れてしまったサトシとの中出しセックス。
一度受け入れてしまうと、その快楽が欲しくて、当たり前のように自分からも求めてしまう。
そんなことを続けていたらいつ妊娠してしまうかわからないというのに。
早く夫とのセックスを復活させなくてはいけない。
今、子どもができたら、何の言い訳も出来ない。
わたしはどうして、こんなに危ない橋を渡っているのだろう?
夫にバレなければ産んでもいい、、、
夫を愛しているのに、そんなことを思ってしまう自分がいる。
わたしは本当はどちらの子どもが欲しいのだろう?
そんなことを考える自分が怖い。
サトルとのセックスが途絶えるようになって、三週間が過ぎようとしている。
その前は毎日のように求めてくれたのに。
さすがにアズサも不安なモノを感じるようになっていた。
こんなことは今まで一度も無かった。
夫から求めてくることは一切無くなり、アズサから求めても、理由をつけて拒まれてしまう。
キスすらしない状態だ。
だからわたしはその間、サトシとしかセックスをしていない。
それで躰のほうは十分に満たされていたが、不安を打ち消すことは出来ない。
ひょっとして不倫がバレたのだろうか?
いいや、そんなはずは無い。
知られないように気をつけているし、何よりわたしは夫を愛している。
だから後ろめたさもあって、夫に前以上に愛情を込めて接するようにしている。
でもそれが、かえってマズかったのか?
いいや、そんなはずはない。
第一気付いていたら、わたしを問い質すはずだ。
バレているはずがない。
ふと、夫はマンネリを感じているのかも知れないと思い当たる。
夫婦間にはよくある話だときく。
確かにサトシとのセックスはとてつもない満足感を与えてくれる。
サトシが好きだし、もう離れることなど出来ない。
でも夫とも愛情に溢れたセックスをいっぱいしたい。
そしてお互いの愛を確認したい。
自分は多情な女なのだろうか?
最近、一人で街を歩いていると、異性から声を掛けられることが格段に多くなった。
中には露骨にセックスを匂わせ誘ってくる男もいる。
いきなり声を掛けてきた恰幅のいい中年男性に、十万出すから二時間だけつきあってくれといわれたときには、自分をそういう女と見られた不愉快さで、男をにらみつけ、走って逃げたこともある。
この前は二人組の見るからにチャラい金髪の若者に声を掛けられた。
以前ならまったく相手にもしないで行ってしまうアズサが、どうしてかそのときは男たちと会話を交わしていた。
思ったよりも男たちは若く、あどけない可愛い顔立ちをしていたからだ。
正直に言うと、少しだけタイプだった。
でもその顔立ちとは裏腹に若者たちは、口では調子のいいことをしきりに言ってはくるが、アズサの躰を狙っていることは明らかだった。
不躾な若者たちの視線を躰中に感じていた。
二人ともアズサの豊満な胸が気に入ったらしく、露骨な視線を注いできた。
必死になってアズサの気を引こうとする若者たちに女としての優越感を刺激される。
きっとこのままついて行ったら、間違いなくこの二人の若者とセックスすることになる。
ひょっとしたら、二人同時に、、、
3Pという言葉が頭に浮かぶ。
二人の男に躰中を愛される、、、
フェラチオをしながら、他の男にバックから貫かれる自分の姿が頭に浮かぶ。
アズサの躰の奥に疼くモノを感じていた。
一度だけなら経験してみたい、、、
でもダメ、、わたし何を考えているの?
慌ててイケナイ考えを振りはらい、その場を立ち去った。
後を追おうとする男たちを振り切って。
そんな怖いことは出来ない。
つきまとわられたら、大変なことになる。
でも後腐れの無い男だったら、、、
声を掛けてきた男が好みのタイプだったら、、、
一度切りの情事を楽しんでみたい、、、
それなら、誰にも知られることは無い。
初対面で一度切り、、、
恥も外聞もなく欲望満たすだけのセックスに没頭出来る。
一度切り、思い切り、行きずりのセックスを楽しめばいい。
夫もそして恋人もいるクセにそんなことを考えてしまう。
でも知られなければ、それはしていないことと同じことだ。
したたかな女の計算だ。
都合の良いことばかりを考えていると自分でも思ってしまう。
でも夫を心から愛していることに偽りはない。
なんとかして夫婦間のセックスを復活させたい。
そうだ、今夜、思い切って夫にアレを求めてみよう、、、
ひょっとしたら、いやきっとマンネリを打破出来る。
アズサは夜が待ち遠しくなっていた。
つづく
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