サトルには人には言えない性癖があった。
俗に言う寝取られだった。
でもサトルのそれは少し変わったものだった。
恋人を他人に貸し出すとか、二人が納得し合って彼女に浮気をさせるといった類いのものとは違っていた。
あくまでも恋人が自分の意思でサトルに隠れて浮気をする。
その状況でしかサトルは興奮を覚えない。
そんな歪んだ寝取られ願望だった。
サトルには学生時代、付き合っていた恋人がいた。
清楚で可愛らしく体つきも華奢で、生真面目な女の子だった。
勿論、男性経験もキスの経験もなく、サトルの腕の中で初めて男を知った。
二人はそれからより一層、お互いに夢中になり幸せな交際が続いていた。
そして1年ほどが過ぎたころ、彼女の浮気を知ることになった。
あの清楚でサトル一筋だと思い込んでいた彼女が、こともあろうかサトルの親友とサトルに隠れてセックスをしていた。
サトルは信じることが出来なかった。
彼女に限ってそんなことをするなんて。
サトルは落ち込み、絶望の気持ちにさらされた。
そうとも知らず、浮気を知られているとは気づかない彼女は、平気でサトルに甘え、平気でキスを求め、サトルとのセックスを楽しんでいた。
さもサトルに夢中なフリをして。
ときには白々しく、サトルの目の前で浮気相手の親友とふざけて、じゃれ合うことも平気でされたこともあった。
二人にしてみれば絶対にバレていない自信があったのだろう。
嫉妬と怒り、苦しみに苛まれながら日々を送るうちに、奇妙な感覚を覚えるようになっていた。
彼女は今頃、アイツに抱かれているかも知れない。
自分以外の男に激しく乱れる姿が頭に浮かんだ。
俺にスルとき以上に熱のこもったフェラチオをする、あの清楚にしか見えない彼女。
いつの間にか勃起していた。
今までに覚えたことの無い激しい興奮で、自らシゴき、オナニーをしていた。
彼女を抱くときも二人のセックスを想像してするようになった。
今までよりもずっと燃えた。
お互いにクタクタになるまでシタ。
でもそんな日々も長くは続かなかった。
彼女は結局、親友を選びサトルの前から去っていった。
それからというもの、サトルはわざと浮気っぽい女性を選び付き合うようになっていった。
自分に目覚めた寝取られという属性を満たせるために。
でもそれは間違っていた。
いくら寝取られといっても、元々マタのユルイ女が他の男を咥え込んでも、興奮を覚えることはまったく無かった。
どうしようも無い嫌悪感を覚えるだけだ。
貞淑でありながらも、恋人を愛していながらも、他の男に惹かれ躰を許してしまう。
いけないと思いながら、良心の呵責に慄きながら、貞淑な仮面を脱ぎ捨て、淫らで激しいセックスに溺れてしまう。
相手の男に対する愛情を深めながら、、、
自分はそんなシチュエーションにしか興奮を感じ無い、歪んだ性癖の持ち主だということに気付いてしまった。
サトルはそんな自分の恥ずべき、ねじ曲がった性癖を心の奥底に封印した。
つづく
※元投稿はこちら >>