⑭…
日登美達が隣町と呼ぶ所は、大きな駅があって、多くの商業施設と歓楽街が賑わう町であり、そこにある映画館から日登美と章が仲良さそうに話しながら出てくる。
日登美「ウフフッ…映画館とか、久し振り過ぎて…楽しかったなぁ」
章「喜んでもらえて良かったぁ…それじゃあ…次は、もっと喜んでもらえるかも、知り合いに貰ったチケットありますからプロレス観戦に行きましょう」
日登美「おっ…凄い!選手とかは知らんけど、プロレスに興味はあるよ、生で見れるの楽しみだね」
笑顔でそう言う日登美と目が合い、章は、少し照れてしまうのだった。
試合前の会場に到着すると、人の混雑具合に日登美は驚き、先を歩く章についていくのだが、関係者以外立入禁止に入ってしまう。
日登美「えっ!ちょっ…ちょっと章君…ここって入っちゃダメなところなんじゃ…」
焦る日登美を見て、クスッと笑う章を呼ぶ声が聞こえると、大柄でうねりがある長めの髪をなびかせながら、中年のレスラーが2人に近づいてきたのだ。
章「おばさん…知ってるよね、中仁田選手だよ…テレビとかCMにも出てるし…結構…有名な人なんだけど…ちょっとした知り合いで」
日登美「そんなに有名な人なんだ…ごめん…知らない」
この2人のやり取りを、中年レスラーが大きな声で笑い、章の肩をバシバシと叩き話し掛ける。
中仁田「ところで…章よ、こちらの別嬪さんは…もしかしてお前の母ちゃんか?」
章が答えようとすると、先に日登美が喋り出してしまう。
日登美「私、章君の友達の母親なんですよ…今日は章君とラブラブでデート中でしてぇ…フフフッ」
悪ふざけで言ったつもりだったが、それを信じてしまったように中仁田が驚く。
中仁田「章!お前…友達のお母さんに…奥さんが綺麗だから…章を惑わせてるんじゃ…章と別れて俺と付き合いなさい!」
日登美は、冗談ですから…と笑い、真剣な顔の中仁田の腕をポンッと叩くと、その筋肉の固さに驚き、中仁田に自分の身体をもっと触るように促された。
日登美「凄い…どこ触っても固い筋肉だよ…やっぱりプロレスラ-ってこんな感じの身体に…」
中仁田「凄いでしょ~…それじゃあ、次は、俺が奥さんの身体を触る番だな」
今度は、日登美が、えっ…と真剣な顔で中仁田の言う事を聞いてしまい、冗談だよ…と言われると、笑いながらヘラヘラと話し続けていた。
章(なんだか…良い感じだな…この2人…美女と野獣ってとこか…)
……
………
プロレス観戦が終わった後、車を運転しての帰宅ではなかった日登美を章が居酒屋に誘い2人でお酒を飲んでいて、プロレス観戦の余韻からか、日登美は興奮したように話す。
日登美「いやぁ~…凄かったよ中仁田さん…46歳であの動き…もうバチ~ンってね…見た目はカッコ悪いけど尊敬しちゃうなぁ…試合も勝って良かったよぉ」
更に慣れない飲酒で、早くに酔ってしまった日登美は、顔を赤くし、目を据わらせていたのだが、病院でおばさんが…この章の一言で、ハッとしたような表情になり話を止める。
日登美「章君!それ以上言うなよ…もう忘れなさい…誰かに喋ったら殺すから…いいわね…」
日登美(私ったら…楽し過ぎて…今日の目的を忘れてた…)
日登美に思いっきり睨まれた章は、それから逃げるように視線を反らしボソッと呟く。
章「おばさんとハプバーに行きたい…」
……
………
会計を済ませて、居酒屋の外でトイレに行った日登美を待つ章の手は震えていた。
章(やった!おばさんを誘えた!ハプらなくても…おばさんがエッチな目で見られる…うぅ…ゾクゾクする)
日登美「待たせてごめんね…本当に行くの?ハプバーってどういう所か聞いた事あるけどさ…ウフフッ…章君のエッチ」
酔った勢いもあり、ハプバーへ歩く途中に章は本音を日登美に話し始める。
章「憧れの人が…何ていうか…他の人に触られたり…そういうの…興奮する」
日登美「変態…」
章「ごめん…」
日登美「残念ながら章君が望むような展開にはならんし…デートの誘いも受けて、更にそんな如何わしい店にも付き合ってあげるんだから…病院と今日の事は絶対に内緒ね…長男や誰かに喋ったら…本当に殺すよ」
そう言いながら夜のきらびやかなネオンを懐かしく感じて、まだ10代だった自分が家出して来たのが、この場所だったなと思い出す日登美であった。
日登美(純姉に助けてもらったの…この辺だっけか…純姉…やっ…やだ私…エッチな事も思い出しちゃった)
※元投稿はこちら >>