うなだれている二人に、
「あなた達は観光客じゃ無さそうだ。きつい事言ってすまなかった。暑いし家で少し休みませんか?」
マイナンバーカードと名刺を見せたら、安心したみたいだった。私は一部上場企業の社員だったし、高齢でチビたわから変なことはしないと思ったのかもしれない。
二人は、涼しい部屋で冷たい物を飲むと落ち着いたみたいだった。
「あなた達は覚えて無いと思いますが、電車の中で一緒だったんですよ。僕が乗った時は居眠りしてたからね。
その時に、観光客じゃないな、と思ったから覚えていたんだ。」
「へー。オジサン、流石一流企業の社員、記憶力抜群だね。」
「ありがとう。じゃあ次いでになんで家の前に居たか、当ててあげよう。
何か用事が有ってこの街に来て、せっかくだから観光して帰ろうと思ったら花火大会に巻き込まれ、やっと乗った電車で居眠り。折り返しで戻ったら運転見合わせ。慌てて外に出たら迂回の電車への道は大混雑、タクシーも来ない。駅に戻ったら、今日はもう運行しない、ホテルを探しに出たらラブホテルしか無い。違いますか?」
「凄いわ。その通りです。あの電車路線図だと都心まで行くはずなのにおかしいわ?」
私は笑いながら、
「昔は行ってたんですよ。でもほとんどの客が街の中心の駅で降りてしまうから、折り返しになってしまった。直通は有料の特急だけ。私達住民はいちいち乗り換えないといけないから不便でね。あなた達は、行きは違う会社の電車で来たから、判らなかった。当たりかな?」
「オジサン天才。ねえ泊まっていい?」
「ちょっと、何言ってるの?すいません。この子はもう!帰るわよ。」
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