類は友人のレイナのマンションにいた。
実家が裕福なレイナは学生になって両親から独立し、かなり豪華なマンションに一人住まいをしている。
類は愛との密会を続けていたが、相手は人妻であり、そう頻繁に逢うわけにはいかない。
愛にたまらなく惹かれていた類は、逢えない寂しさに内心鬱屈したものを感じながら日々を過ごしていた。
そんなとき、女性ではあるが親友とよべるレイナに頼み事をされた。
レイナは美形でスタイルもよく、友人達への面倒見もよかったので、みんなに好かれている。
類と同い年で、女にしては裏表のない正確で、入学したときからの友人だ。
男女の関係になったことは一度もなく、類が心を許せる、数少ない友人の一人だった。
そんなレイナに頼まれたのだ。
断ることは出来なかった。
レイナの所属するサークルの後輩でダイチという1年生がいる。
物静かで優しく、外見も悪くない。
レイナはダイチが気に入り、後輩として普段からよく面倒を見ていた。
ダイチには中学時代からの同級生のマイという恋人がいた。
その彼女が浮気をした。
相手はなんと、二人の高校からの共通の友人のアツシという男だった。
マイはダイチ同様に一見真面目そうに見え、浮気をしそうなタイプには見えなかったが、女はそういうものだと類にはわかっている。なかなか可愛い顔立ちをしているし、躰も女らしく丸みを帯びたいいスタイルをしている。
ところがマイが浮気しているのが発覚し、ダイチが別れを切り出したが、マイがまるっきりそれを受け入れない。
自分がまいた種なのに、あれこれ言い訳をしてどうしても認めようとしない。
そしてダイチから相談を受けたレイナが、類に協力を求め、こうして四人で話すことに
なったのだ。
このマイという女はしおらしく反省している顔をして、何度もダイチに謝罪の言葉を繰り返していた。
でもその内容は呆れ果てたもので、聞くものすべてが怒りを覚えていることに、このマイという女は気づいていない。
要するにこの女は、まだ早いとダイチとのセックスを拒否していたにもかかわらず、雰囲気に流されて、友人のアツシに処女を捧げていた。
もちろん合意の上で。
最初は一度だけの積もりだったと言い張っていたるが、二人は内緒で関係を一年も続けていた。
そしてマイの方から関係を切り、終わりを告げたと、マイはまるでこれではいけないと改心して、自分が二人の浮気を清算させたかのようにダイチに訴えた。
一年も関係を続けていたのに開いた口が塞がらない。
そんなことにも気がつかず、マイはアツシには初めから一度も恋愛感情を持ったことはなく、心の中ではずっとダイチが好きで、ダイチだけを恋人だと思っていたと涙ながらに訴え続けていた。
許して欲しい、わたしはどうかしていた。
もう二度と過ちをおかさないと、、、
類は呆れながら話を聞いていた。
この女、、、虫も殺さない顔をして、中身はクソだな、、、
類はこの日の為に、自分なりにいろいろと調べあげ事実を知っていた。
相手のアツシにもわざわざ会いに行き、話を聞いていた。
奴は自慢げに洗いざらいマイとの関係を話した。
こいつもクソだなと類は思った。
類は冷え切った怒りで胸クソが悪くなる。
もうガマンが出来なかった。
レイナとダイチには許可を得てある。
どんな手を使ってもいいから、マイを諦めさせ、二度とダイチの前に姿を現すことが出来なくして欲しいと。
類はおもむろに話を始めた。
「あのさあ、、、北島さん、、、どうして二人のことがバレたか知ってる?」
マイは黙って首を横に振る。
「アツシがあなたと別れたあと、わざわざダイチに言いに来たんだよ、、、マイの処女はもらったぜって、、、」
「ええっ、、、そんな、、、」
マイの顔が一気に青くなっていった。
「一年間、たっぷり楽しんだから、もう飽きた、、お前に返すって、、、まだお前マイとやってないんだろう?俺がマイをセックス大好き女にしてやったから、仲良くしてやってくれってな、、、まあ、俺の使い古しだけどって、ダイチに捨て台詞を吐いて、、、」
「そ、そんなことウソ、、、そんなヒドイこと、、、」
「北島さんも男を見る目があるよ、、、ダイチを放って置いて、あんなクソ男と、、、」
「そんなこと信じない、、、アツシはクソなんかじゃ、、、」
あれ、この女、クソ野郎を庇ってるのか?
類の心の中が更に冷えていた。
もう徹底的にやってやる。
「ダチの長年の恋人に手をだして、処女をかすめ取るやつはクソだ。そして優越感に浸りながら、バカ女と一緒になって、前と変わらず友人ヅラ、恋人ヅラしてたんだろうが?ダイチ、あなた知らないだろうけど、私達、セックスしてるんだよって、、、お前ら本当にクズだよ、、、いいコンビだ、、、気持ち悪い、、、」
図星だったようだ。
マイは自分の手に爪を立て、唇を噛みしめていた。
つづく
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