落ち着いた口調の内に甘い色気がにじむような愛の声が、たまらなく好きになっていた。
「俺、なんて言ったらいいか、愛さんの話し方とか、愛さんの声が大好きなんです、、、」
「フフッ、嬉しいわ、、、わたしも類くんの声、ステキだと思ってるよ、、、」
なにか大人の余裕を感じさせる受け答えに、子供扱いされているような気分になる。
そんな愛がめずらしく尋ねてきた。
「ねえ、、、類くんて、、彼女いるんでしょう?」
なんとなくお互いの男女関係はタブーになっていた。
今日はその垣根を愛の方から踏み越えてきた。
よい傾向だ。
案外、思った以上に愛は焦れているのかも知れない。
類は気を引き締めた。
深刻になり過ぎないように、何気に答える。
「います、、、一応これでも健康過ぎる男子なので、、、はい、、、」
少しだけオスの香りをにじませた答えに愛は気づいただろうか?
本当は嘘だ。
類は特定の彼女はつらない主義だ。
「そっか、やっぱりね、、、類くん、、、すごくモテそうだもの、、、」
愛のこたえにすこしがっかりしたような、すこし安心したような気配を感じる。
これは本当にかなりイケてる雰囲気だ。
「モテるなんて話、俺の周りでほとんど聞いたことないんですけど、、、」
「またまた、そんなこと言って、、、類くんは絶対モテるって、、、間違いなく、、、」
「そんなことないですって、、、それなら愛さんこそすごくモテるでしょう?」
「ないない、わたし人妻だよ、、、」
「イヤイヤ、俺にはわかります、、、頭痛がするほど愛さんはモテます、、、」
「プッ、それなに?でもわたし、本当にモテないよ、、、」
「それはきっと愛さんが美人過ぎるからですよ。魅力的過ぎるから声をかけづらい、、それだと思います、、、はい、、、」
「あら、類くんは声をかけてきたじゃない?」
「グサッ、、イタイ、、、」
二人は吹き出した。
いいぞ、いい感じだ。
「ねえ、類くんの彼女、どんな感じの子?あっ、こんなこと聞いてもいいのかな?」
「いいですよ、ぜんぜん、、、う○ん、背は愛さんくらいで、髪は黒髪で肩ぐらいの長さです。顔はかなり美形だとみんなに言われます。」
「フフッ、類くんも美人だと思ってるんでしょう?」
「もちろん、、、あと体型、体重はふつう、性格は優しい、以上報告終わり、、、」
「うん、なにか途中から雑になったけど、類くんが彼女に夢中なのはなんとなく分かったわ、、、」
「うーん、それが、、、違うんです、、、」
「えっ、何が?」
「前まではそうだったんです、、、でも今は、、、」
「何かあったの?けんかでもしたの?」
「けんかはしてません、、、正直者に言いますね、、、、俺、愛さんを初めて見て、メールや電話で話ししているうちに、彼女じゃぜんぜん物足りなくなって、、、愛さんとならこんなにドキドキするのにって、、、いまじや本当に好きなのか分からなくなって、、、俺って本当に酷いヤツですよね?」
「それって?」
「愛さんは気にしないで下さい、、、これは自分の問題です。愛さんは大切な友人です。それ以上にはなれないって分かっていますから、、、だから友達をやめるなんて言わないで、、、下さい。なんとか自分で解決します。ごめんなさい、、、ヘンな話をして、、、」
「ううん、わたしこそゴメンね、わたしが彼女のこと聞いたりしたから、、、、でもね、、、類くんて、きっと年上の女性にもモテると思う、、、」
「ええっ、、、本当ですか?」
「本当だよ、、、それも、すごく、すごく、モテると思う、、、」
えっ、これって、もうイケるんじゃないか?イヤ、だめだ、まだ食いつくな、、、
「慰めてくれて、嬉しいです、、、でも、俺、年上で俺のこと好きになって欲しい人は、一人だけですから、、、」
「うん、わかってる、、、、でも、きっと大丈夫だと思うよ、、、、ねえ、そうだ、今度彼女のことで相談に乗るよ、、よかったらだけど、、、」
「本当ですか?今度の電話で?」
これは、ひょっとして、、、ドキドキする、、、」
「ねえ、二人で逢おうか?その方が相談しやすいし、、、類くんがイヤじゃなければだけど、、、」
今だ、食いつけ!
「いやじゃないです、、、イヤじゃないに決まってるじゃないですか、、、、俺、愛さんの顔だけでもまた見たいって、ずっと思ってて、、、」
「顔だけでいいの?」
「ああっ、違う、、、体も見たいです、、、」
「からだぁ?」
「ああっ、ち、ちがいます、ヘンな意味じゃなくて、、、違うんです、、、俺、何言ってるでしょう?、、、ああ、そうだ、、、愛さんに逢いたいってことです、、、ふう、、、」
「うふふ、わかってるよ、、、からかっただけ、類くんて、やっぱり可愛いね、、、」
「もう愛さんて案外いじわるなんですね、、、でも本当に逢ってくれるんですか?」
「うん、今月の末に多分、都合のよさそうな日が、、、うん、はっきりしたら連絡するね、、、」
「はい、まってます、、、スイマセン、こんなに長く話しちゃって、、、」
「いいの、すごく楽しかったから、それに夫も今夜は遅いから大丈夫、、、じゃあまた連絡するね、、、お休みなさい、、、」
「はい、、お休みなさい、、、」
電話が切れた。
最後の夫という言葉、そして都合のいい日、何かナマナマしさを感じてしまう。
彼女はもう俺に抱かれる気持ちになっている。
間違いなく、絶対に。
意外なほど早い展開だった。
愛の夫では満たされない肉体がガマンの限界に達してしまったのか?
今も電話を切ったあと、夫不在のベッドの上で俺を、俺とのセックスを想像してオナニーに耽っているのだろうか?
類の巨根が反り返っていた。
スマホで愛の写真を見る。
愛らしく、美しい顔立ちに張りつめた胸。
やっとこの最高の女を手に入れることが出来る。
よし、愛に逢うまで女もオナニーも禁止する。
体も鍛え直す。
絶対に愛を満足させて、俺の女にして見せる。
類は心に誓っていた。
そのころ愛はベッドの上で一人激しく躰をくねらせていた。
スマホを枕の横に置き、瞳を閉じ、頭の中にあの日街角で声をかけてきた類の美しい顔を思い浮かべていた。
指先をブラの中の豊満な乳房に潜らせ、激しく乳首を嬲り続けている。
そしてもう一方の手はショーッの中に忍び込み、たっぷりと濡れている膣口に二本の指を深々と差し込み、他の指でクリを刺激していた。
腰が弾むようにくねりだす。
愛の口から舌先が忍びだし唇を盛んに舐めまわしていた。
色っぽい愛のうめき声にまざる男の名は、もちろん夫ではない。
かってこの部屋に設置されていた監視カメラは今はもう無い。
愛は愛おしい男の名をはばかることなく、何度も大声で連呼しながら絶頂の階段を駆けのぼっていった。
つづく
※元投稿はこちら >>