部屋にカメラを取り付けていきます。
自分のための記録であり、1人の男からの命令でもあります。
参加者に気づかれないようカーテンレールに、ナイトテーブルの影に、観葉植物の根元に設置していきます。
デスクに置いたノートパソコンのカメラも起動し 録画状態にしたままソフトを画面から隠します。
扉はオートロックが閉まってしまわないようドアストッパーを立て、「起こさないで下さい」のドアノブサインを扉に取り付ける。
1つ1つをこなす毎に心拍数が上がっていきます。
空調の利いた 快適なはずの室内で全身が汗ばんでいきました。
PM 04:25
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公園のベンチで男と話しました。
どうしてそうしたのかは 自分でもわかりません。
でも、私は聞かれるまま、それまで誰にも言えなかった秘密を、正直に全て告白していきました。
きっかけが刑事ドラマだと聞いて 男は少し笑いました。
けれど話が進むと真剣な、興奮したような顔で私を見つめてきます。
「その女、何をされたと思う?」
「・・・襲われたと思う」
「そうだな、襲われた・・・男が思うとおり、されるままだ」
「・・・うん」
「好き勝手に体を使われて、男が満足するまで何回でも突っ込まれる」
「・・・・・・うん」
「意識がないから抵抗なんてできない・・・何をされてもな」
「・・・・・・・・・・うん」
ずっとドキドキしていました。
誰にも言わなかった秘密を こんな男に教えてしまっている。
顔が熱くなり息が苦しくなっていくのが分かりました。
途中、処女かと聞かれてそうだと答えました。
キスどころか誰かと付き合ったことすらないと。
「こんな事、誰にも言えないな」
「・・・うん」
「このまま、名前も分からない男にレイプされて処女喪失なんて、もっと誰にも言えない」
「・・・うん」
「そうなったら脅されて、逃げられなくなるかもよ?」
「・・・・・・」
「・・・それはイヤか?」
「・・・・・わからない」
ふと男の視線の先を見ました。
路地の向こうにラブホテルのピンクのネオンが光っていました。
私の初体験は その男でしたが、その日ではありませんでした。
もっと単純で欲望しか頭にないような男だったら、私の運命は全く違ったものになっていたかもしれません。
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