俺は妻への疑惑を振り切れず、かといって問い詰めることもできず、月に一回だけのチャンスに挑み続けた。
いろいろと想定し、準備しているつもりなのだが なかなかうまくいかない。
2回目で同じ電車に乗ることに成功したが、同じ駅で降りられたのは4回目だった。
改札を出た後も妻の後を歩けるようになるまで半年もかかってしまった。
そしてとうとう、妻がビジネスホテルに入っていく姿を目撃してしまう。
妻はフロントでチェックインを済ませると、そのまま奥に向かった。
妻が乗り込んだエレベーターの扉が閉まってから急いでホテルに入った。
不審者に思われるかもしれないなどと思いもせず、変わっていく数字を眺めた。
妻を乗せたエレベーターが10階で止まったのを確認し、俺は逃げ出したい気持ちになりながらエレベーターの呼び出しボタンを連打した。
後悔しながらエレベーターに乗り、真実を知りたくないと思いながら10階の廊下に出た。
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