久しぶりの凌馬からの呼び出しだった。
新一が待ち合わせの飲み屋に行くと、凌馬はすでにかなり酔っていた。
「どうした?」
「、、、綾乃のやつ、、、浮気してた、、、」
「えっ、、、まさか?」
「本当だよ、、、」
綾乃は若い男と不倫をしていた。
相手は金パツでピアスの女慣れした学生だった。
綾乃は男にのめり込み、3Pまで受け入れるようになっていた。
男との情事に溺れていた綾乃だったが、次第に売春まがいの行為を強要されるようになった。
男の大学の教授や、気味の悪い中年男の相手をさせられることに耐えきれなくなった綾乃が夫である凌馬にすべてを打ち明けたのだ。
凌馬は話をつけた。
以外にも学生の親は地域でも有名な名士だった。
家に乗りこむと平謝りに謝罪され、もう二度と綾乃に近づけないと約束した。
話はついたが凌馬の心は晴れなかった。
当たり前のことだった。
愛する妻が浮気をするどころか、3Pや売春までしていたのだ。
二人は今、別居中だと言った。
綾乃は独り暮らしをしているらしい。
凌馬はきっと別れることになると思うと言った。
汚れてしまった綾乃をどうしても許すことが出来ないと言った。
新一は愕然としていた。
相手は類だとすぐに分かった。
綾乃は類と連絡を取り合っていたんだと思った。
新一はショックを受けていた。
別れ際、凌馬は酔った目をして新一を見た。
「新一、、、あの、、、あい、、、いや、、、いいんだ、、、」
凌馬は何を言おうとしていたのか、、,
言葉を飲み込むと何も言わずに去って行った。
翌日、綾乃から連絡があった。
逢いたいと言われ、躊躇していると、どうしても顔だけでも見たいと声に涙をにじませるように請われ、断ることが出来なかった。
綾乃はこぢんまりとした、それでいて洒落たアパートに住んでいた。
久しぶりに逢う綾乃は少しやつれてはいたが、以前よりももっと美しくなっていた。
でもそれは、こんなことがあったせいか、冷たさを感じさせるものだった。
今度のことも、心の奥では自分に夢中になった男達のせいだというような、女の自信が感じられるような気がした。
綾乃はそれでも話してくれた。
やはり相手は類だった。
新一と別れることになって、本当は寂しくてしょうがなかったのに、意地を張ってしまった。
その後、夫との生活を大事にしていればよかったのに、新一がいなくなったって、わたしにはいくらでも男が寄ってくるといい気になっていた。
そして類に連絡を取った。
類との関係にのめり込み、大変なことをしてしまった。
後悔してもしきれないと言った。
俺のせいだなと言うと、いいや連絡を取った自分が悪いと綾乃は新一を責めなかった。
きっと凌馬と別れることになると思う、逢えなくなるかも知れ無いから、その前にどうしても新一に逢いたかったと濡れた瞳で見つめてきた。
つづく
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