俺を愛していると言いながら凌馬に抱かれに行く。
いっそ目の前であいつに抱かれ、乱れ狂う愛を見てやりたい。
それでも俺を愛していると言い訳することが出来るのだろうか?
二人の心が離れ始めていることを新一は気づいていた。
夜の8時前に愛からの電話があった。
甘く蕩けるような声で、、、
男の腕の中で出すような声だった。
「新一、、ゴメンね、、、、ぁッ、、、、もう少し、遅くなる、、、、、先に寝ていていいからね、、、んッ、、、、アッ、、、、」
こいつ、、、今、凌馬と、、、、
新一はすぐにわかった。
それでも気づかない振りをする。
「わかった、先に寝るよ、、、ゆっくりしておいで、、、」
「うん、、、、ぁッ、、、ダメぇ、、、遅くなって、ゴメンね、、、、クゥ、、、、じゃあ、、ね、、、ぁッ、、、」
電話が切れた。
愛は本当に浮気をしていた。
その途中で俺が気づかないと思いながら電話をかけてきた。
まるでそのスリルを楽しむかのように。
俺は不思議と怒りを感じなかった。
仕向けたのは自分だし、こうなる事もわかっていた。
綾乃の声が不意に聞きたくなった。
本当は今日だって逢いたかった。
毎日だって逢いたい。
でも綾乃の躰を考えたら、それは出来ない。
逢えば二人は求め合ってしまうから。
今は綾乃の躰の為にも、先を急いではいけない。
綾乃もそれは分かっているはずだ。
でも今はどうしても綾乃の声を聞きたい。
まるで待っていたかのように、電話が繋がった。
つづく
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