妻の愛を責めないこと、そして綾乃を抱くまで愛とはセックスをしないことをもう一度心に決める。
あの美しい、どこか儚げな、守ってやりたい綾乃を自分の手で絶頂に導いてやりたい。
痛みを感じることなく、本当のセックスで何度もイカせてやりたいと心から思っていた。
家についたのは十時を過ぎていた。
愛が心配そうにオレを見つめていた。
この女は夫のオレ以外の男を自ら誘惑して抱かれた。
そして、その男にオレ以上の快楽を与えられた。
そういう目で見てしまう自分がいた。
そしてこの女はその男と、夫に隠れて秘かな関係を続けようとしている。
「遅くなって、ゴメン、、オレ、もう寝るわ、、、」
その言って、愛を見ないようにして寝室へ向かう。
「誰と会ってきたの?」
おそるおそる愛が後ろから尋ねてきた。
ああそうか、凌馬と会ってきたのか心配だったのか、そう思いあたる。
「会社の人だよ、、、」
嘘をついた。
愛のホッとした雰囲気を背中に感じる。
ベッドに横になったが、眠れそうもない。
愛はこの夫婦のベッドの上に平気で男を連れ込み、男の体を舐めシャブり、性器をつなぎ、イクと叫びながら十回以上も絶頂したのだ。
頭の中は氷のように冷えているのに、新一は激しく勃起していた。
自分が仕向けたことを棚にあげ、あの裏切り者を思いきり犯してやりたい。
不意に凶暴な気持ちが湧き上がっていた。
愛が寝室へ入って来た。
新一は眠ったふりをする。
その隣に愛は躰を横たえた。
愛はしばらくすると、背中を向けている新一の体に自分の躰を押しつけてきた。
柔らかな豊かな胸が密着していた。
愛は裸だった。
背中の感触がそう告げていた。
「ねえ、新一、、寝ちゃったの?」
愛の声は震えていた。
不安にまるで怯えるように。
新一は寝たふりを続け、愛の言葉を無視することにした。
愛はいったい何をしようとしているのだろう?
その男を夢中にさせる躰を使って夫に抱かれ、なし崩しに自分の罪悪感を塗りつぶそうとしているのだろうか?
それとも、すべてを夫に懺悔して許しを請い、
もう二度としないと誓いながら、夫に抱かれようとしているのか?
愛は返事の無い新一に諦めたようだ。
でも躰は離そうとしなかった。
さっきより強くしがみついていた。
眠っていると思っている新一の背中で、小さく呟いていた。
「新一、、、ゴメンなさい、、、、、本当に、新一のこと、、,すごく愛してる、、、、、」
さっきまで確信していた愛情は、跡形も無く消え去っていた。
オレは綾乃を抱く。
それまでお前を抱くことは無い。
新一は心の中でそう呟いていた。
つづく
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