優香と凪と詩織、三人で会うことになった。
詩織がどうしても、優香の10才の誕生日のプレゼントをしたいからという理由からだった。
二人は楽しそうに会話をしながら、買い物をしていた。
凪は離れたところから見ていたが、二人から時間がかかりそうだから、休んでいてと言われ、ベンチに一人座っていた。
誕生日を前倒しにしたのは、詩織なりの気遣いなのだろうと凪には分かっていた。
久しぶりに会う詩織は、以前よりももっと美しくなったように見えた。
あの男とまだ付き合っているのか、それとも新たな恋を見つけたのか?
とにかく詩織は今、充実した生活を送っているように凪には見えた。
凪は詩織との二人の会話はほとんどなく、別れ際に、
「今度、メールしてもいいかな?」
と聞かれ、
「うん、いいよ、、、」
と答えると、うれしそうにして、優香とハグをすると、詩織は帰って行った。
その後ろ姿を見送りながら、これからデートかなと考えてしまい、胸にチクリと痛みを感じていた。
帰り道、優香はプレゼントを胸に抱きしめ、とても嬉しそうにしていた。
「しおに会えて、すごくうれしかった、、、」
「そうか、、、よかったな、、、」
「凪はモテモテだね、、、しおも、、みんな美人だし、、、、」
「何言ってるんだよ、、、詩織さんは優香に会いに来たんだから、、、」
「、、、そうだけど、、、凪は鈍感だね、、、、、でもしおもオッパイ大きいね、、、」
「だから、なんだっていうの?」
「ふん、、このオッパイ好きの凪が、、、」
唯の言っていた通り、娘にはバレバレみたいだ。
「、、、わたしも、、、大きくなるかな?」
「なるよ、きっと、、、でも今のままでもオレは優香が大好きだよ、、、」
「嫌だよ、、絶対に大きくなりたい、、、、でも、凪、ありがとう、、、わたしも凪が大好きだよ、、、」
性格が素直な優香は顔を赤くして、俯いているようだった。
これではどっちが大人か、分かったものじゃない。
そう思いながらも、凪は幸せをかみしめていた。
家に帰ると詩織からメールがあった。
今日のお礼の内容だった。
こちらこそと返事をする。
詩織は出来れば近日中に、どうしても凪に渡したいものがあるから、会社の帰りにでも寄って欲しいと新しい住所が添えられていた。どうして今日渡さなかったんだろうと思いながらも、少しだけ詩織はどんなところで、今暮らしているのか興味が湧いていた。
明後日なら優香が唯のところに泊まるから、行けるかも知れないと返事をする。
待っているねと返事があり、メールのやり取りを終えた。
つづく
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