「でも、電話のあとも、、、あの男と、、続けたよね?、、、、」
もう凪に嘘はつけない。
「、、、つづけた、、、ゴメンなさい、、、、でも、もうしない、もう兄には二度と会わない、、、誓うから、凪、お願い、、、、」
おそらく詩織はあのあと、兄とのセックスに溺れ、我を忘れて快楽の波に呑み込まれたのであろう。
そんな詩織の姿が目に浮かんでいた。
詩織に取ってオレはその程度の存在でしかなかったんだと、凪は悔しくてしょうがなかった。
でもそれが現実だと思った。
「きっと詩織さんはオレより兄さんの方が好きなんだよ、、、自分で気づいていないだけだと思う、、、」
自分でも驚くほど覚めた口調だった。
「違うよ、違う、、、凪が好き、、、凪が一番好き、、、、」
「ゴメン、、、オレ、詩織さんを信じることが出来ない、、、、、、今日で終わりにしよう、、、」
「、、凪、、、、」
すべてが終わった。
凪にはすべて分かっているのだ。
あの電話のとき、わたしは兄との快楽を優先した。
あの時、わたしは自分の幸せを手放していたのだ。
詩織はいつかはこんな日が来ることが分かっていた。
二人は別れた。
二人はそれぞれに思っていた。
二度と恋はしない、いやもう出来ないと。
凪は離婚した。
娘の優香との二人の生活が始まった。
つづく
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