あの男は詩織の腹違いの兄だった。
1歳年上だったが父が引き取ることになり、突然一緒に暮らすことになった。
中学三年生のときだった。
兄が家に来て一週間後、詩織はレイプされた。
最初は兄を憎んだが、何度も犯されているうちに女の喜びを知り、心を許すようになっていった。
成人して就職して、このままじゃいけないと思い、他の男と交際した。
兄と距離を置こうとしたのだ。
でもどうしても結局は兄と離れることが出来ず、交際は長続きしなかった。
そんな時、凪と出会った。
詩織は凪にどんどん惹かれていく自分を感じていた。
凪みたいな男は初めてだった。
でも自分の境遇が詩織を臆病にしていた。
そうして凪は唯と結婚してしまった。
詩織は凪を傍で見つめるだけで満足しようと拓人と結婚した。
でも募る思いに我慢が出来ず、凪を誘惑し体の関係を結んだ。
すごく幸せだった。
もっと、もっと、凪が好きになっていった。
だが兄は詩織をあきらめていなかった。
何度も執拗に関係を求めてきた。
あの日は突然、詩織の家へやって来た。
凪に会えない寂しさにつけ込まれ、気が付いたときには、兄に躰を許していた。
でもすごく後悔している。
知らないこととはいえ、よりによって凪が苦しんでいるときに、、、
わたしは酷い女だと自分を責めていた。
凪は話を聞いて、詩織が不憫に思え、悲しい気持ちになっていた。
しかしどうしても、凪は詩織を受け入れることが出来なかった。
つづく
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