それぞれ1曲ずつ歌い、次は二人でデュエットした。
二人は見つめあって歌い、終わった後抱き合っていた。
拓人に唇を求められ、唯は目を閉じた。
長い、長い接吻だった。
優しく絡めあっていた舌が次第に激しくなり、まるで長い間求め続けていた恋人のような熱い口づけを交わしていた。
「ああ、唯ちゃん、、、ずっと好きだった、、、」
「ああっ、ほ、ほんとうに?、、、うれしい、、、わたしも、、、わたしも拓人さんが好き、、、」
二人はソファーに倒れ込んだ。
拓人の指が唯の豊満な胸を包み込み、その量感と形を確かめるように優しくなぞり始める。
「ああっ、、、拓人さん、、、あっ、あっ、あっ、、、」
「唯ちゃんの胸、、、すごく素敵だよ、、、」
「あーん、、、恥ずかしい、、、ああ、ダメぇ、、、」
拓人はブラの上から大きめの乳首を摘まみながら、唯の首筋に舌を這わせる。
「あん、イヤぁ、、、感じるぅ、、、どうして、、、すごく感じちゃうぅ、、、、ああぁあっ、、拓人さん、好きぃ、、、、、」
「オレも、、オレも唯ちゃんが好きだ、、、」
うれしかった。
拓人が、あんなに美人の奥さんがいるのに、わたしのことを好きだと言ってくれている。
そして、わたしを女として欲しがってくれている。
わたしも欲しい。
拓人に抱かれたい。
そう思ったとき、不意に夫の凪と娘のことが頭に浮かんだ。
初めて会ったときから、ずっと優しかった凪。
拓人みたいな美男ではないが、童顔で穏やかな顔立ちの凪。
わたしと娘をいつも一番に考えてくれる夫の凪。
唯の瞳から涙が溢れていた。
「、、、帰りたい、、、、ごめんなさい、、、、、、家に、、帰りたい、、、、、、」
涙を流し続ける唯を見ていた拓人は、
「いいんだ、、、わかった、、」
そう言って手を離し、ハンカチを渡した。
唯は送ると言う拓人を断り、一人でタクシーに乗り家に帰った。
涙は乾いていた。
これでいい、これでよかったの。
わたしには愛する夫と娘がいる。唯は自分にそう言い聞かせていた。
でも日がたつにつれて、拓人のことを考えることが多くなってしまっていた。
一人でいるときは、ずっと拓人のことを考えてしまう。
拓人の唇、胸に触れた指先の感触、どうしても忘れることが出来なかった。
拓人に会いたい。
ほんの少しでもいい、あって抱きしめて欲しい。
何度も電話しようと考えたが、あと戻り出来なくなる自分が怖くて出来ない。
それに、いい年をした女があんなに子供みたいに泣いて、拓人はきっと呆れているだろう。
わたしのことなんて嫌いになってしまったかも知れない。
唯は悲しくなった。
つづく
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