まわりと離れた場所にある、一番奥まったテーブルに真一が座っていた。
そしてその隣には男が座っていた。
その男が唯に気づき、手招きをしていた。
男はパート先の副店長だった。
唯は嫌な予感がした。
副店長は水越という50前の中年太りで、脂ぎった男だった。
おまけに頭はハゲていて、顔は目が糸のように細く、鼻が異様にデカい。
唇がタラコのようにボッテリとしていて、はっきり言えばかなりの醜男だ。
セクハラ、パワハラが有名で、みんなから嫌われている。
唯はまだ体を触られたことはないが、いつもいやらしい目つきで、むっちりとした胸とお尻を見つめられ、気味の悪さを感じていた。
気持ちの悪い、生理的に受け付けない、大嫌いな上司だった。
どうして、こんな男がここにいるの?
水越は戸惑う唯を構わず、向かいの席に座らせた。
真一は俯いたまま唯を見ようとしない。
水越はそんな真一に声をかけた。
「小柴君、君はもう行っていいぞ、話は私がつける。今回は大目にみてやるから、二度とこんなことはするなよ。」
偉そうにそう言うと真一は席を立った。
「小柴君、どういうこと?」
唯が声をかけると、すいませんと言って、一度も唯を見ることなく出て行ってしまった。
追いかけようとする唯を押しとどめると、大事な話があると言って、席に座らせた。
訳もわからず戸惑っていた唯は、水越のいやらしい視線を感じ、思わず両腕で胸を覆い隠していた。
水越はそんな唯をニヤニヤしながら、ネットリとした目つきで見続けていた。
つづく
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