ああ、凪、すごく逞しかった。
そう思いながら、横になった凪の胸に頬を寄せた。
「凪、、、すごかった、、、すごくよかった、、、」
「オレも、、、夢みたいです、、、詩織さんとこうなるなんて、、、」
「またぁ、調子のいいこと言って、、、」
「本当ですって、、、オレ、ずっと詩織さんとこんな風になりたいって、、、」
「ずっとわたしとエッチしたかったんだ?」
「すいません、、、でもオレ、ずっと好きだったから、、、」
謝らないで、わたしだって、、、わたしだってずっと凪に抱かれたかったんだよ、、、、だから、すごく嬉しかった、、、」
凪は詩織の頭を優しく撫でていた。
「オレ、詩織さんに告白しようと思ったことがあったんです。」
「ええっ、、、いつ?」
「オレが結婚する前です、、、、好きです、付き合って下さいって、、、、でも結局、出来ませんでした、、、」
「、、、わたし、、、、きっと受けてた、きっとOKしてた、、、凪のことすごく好きだったから、、、」
「ええっ、、、、そんな、、そんな、オレ、、、」
「ねえ、もうよそう、わたし、今、凪に抱かれることが出来て、すごく幸せ、、、それだけでいいの、、、」
詩織は唯のことが頭に浮かんだ。
唯のことは詩織も好きだ。
いい子だし、かわいらしい女性だ。
だから結婚したときも心から祝福しようと思った。
でも心の寂しさは無くならなかった。
ポッカリと胸の中に空いた穴を埋めるように、式で知り合った拓人と交際した。
確かに素敵な男性だとは思った。
外見は申し分ないし、仕事も出来る。
かなり出世もすると思う。
すべてにおいて如才がないし、スマートだ。
でも、他の男達と同じだと思った。
かつて、自分の前に現れた男達。
出来る自分と女の駆け引きで、手に入れようとする。
手に入れた女を、自分の勲章のように見せびらかして悦にいる。
凪は違っていた。
初めて会ったときは背は高いが童顔で、大らかそうな顔立ちの素直な青年だとは思った。
それ以外の印象はほとんど無かった。
それでも凪が自分に好意をもっているのは、すぐに分かった。
最初は凪も他の男達と同じだろうと考えていた。
でも違っていた。
そうまるで弟のように優しく、まるで詩織を姉のように見守ってくれた。
初めは知ら無かったが、陰では詩織にいろんな事で気を使ってくれているのを知った。
普通の男はそういったことを、何気なくでもアピールしてくるものだが、凪はそういったことは一切しなかった。
凪に昔からの恋人がいることを知った。
ああ、そうだったのかと納得した。
しかし、自分でも驚いたことに詩織は寂しさを感じていた。
相手の女性に焼きもちすら感じていた。
こんなことは今まで無かった。
凪からのアプローチは一切無かったが、ときおり女としての詩織を熱い視線で見つめているのを感じたことはあった。
心の奥でそれが嬉しくて、もし交際を申し込まれたら、受けてもいいと考えたこともあった。
そうして、詩織の中で凪の存在がどんどん大きくなっていった。
拓人に結婚を申し込まれ、受けることにしたのは、やはり凪のことがあったからだ。
もう一番愛している奥と結ばれることは無い。
それならという気持ちだった。
それに凪の親友の拓人と結婚すれば、家族ぐるみの付き合いが出来るし、凪のそばに寄り添うことも可能だと思えた。
そんなふうに思えるほど詩織は心の奥で凪を求めていた。
つづく
※元投稿はこちら >>