吉田社長を見送り、私は高橋さんと共に帰宅路についた。
帰りの電車で高橋さんは思わぬことを口にする。
高橋「いや、今日は本当に急にすみませんでした。」
私「いえいえ、こちらこそご迷惑をおかけしたのですから。」
高橋「しかし、また、うちの社長の悪い癖が出てしまいましたね。」
私「悪い癖?」
高橋「たまにあるんですよ。損失補てんをちらつかせて相手の会社の若い人をいじめることがね。」
私「まぁ、損失が出てしまったのは、こちらが悪いのですから。」
高橋「まぁ、本来ならばKさんの会社の上の方と話すべきことなんですが…」
私「そうですね。私だけでは回答しかねる内容ですね。ちなみに、損失はどれくらいを見積もられてるんですか?」
高橋「今の予定だと1ヶ月の予定ですから、日額100万計算でいくと、ざっと3000万ですね。」
私「いや、それは……流石に……うちの上も首を縦に振らないかと…」
冗談ではない。3000万も請求されたら、今回問題を起こした業者に支払った前金とあわせ、人件費を含めれば自分の会社が赤字になってしまう。
そう考えていた時、高橋さんが悪魔の囁きを私に耳打ちした。
高橋「以前ですね、それで自分の奥さんを社長に差し出した人がいたんですよ。うちの社長、ああ見えて女好きなんです。」
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