駅前のビジネスホテルに吉田社長を降ろす。
社長は高橋さんの奥さんに別れを告げると、ホテルへと入ったいった。
そして、高橋さんの奥さんを自宅へと送り届ける。
道すがら高橋さんの奥さんが口を開く。
梢「本当に奥さんのことは申し訳ありません。ギリギリまで守ってあげたかったんですが……」
私「いや、私も妻も覚悟してたことですから。」
梢「あの男は、底無しすぎて………。私一人では、とてもじゃないんですが……それに、あまり逆らうと、私達家族は生きていけないんです……」
高橋さんの奥さんは泣き声になっていた。
梢「あの人のせいで……奥さんに……私……本当に許されないことを……」
私「許されないこと?」
梢「私も……奥さんと……色々…しちゃいました。」
私「…………そうなんですか。」
高橋さんの奥さんが泣き始めると、外は雨が降りだした。
梢「本当に……ごめんなさい。最初は私が守れればと思ってたんですが、ここまでする男だったなんて。」
私「高橋さんは気にしないで下さい。」
高橋さんの奥さんは少し泣き止んだようだ。
梢「そう言ってもらえるだけで、気が休まります。それに、私としろ、なんて言ってきた時も、私少し覚悟してましたけど。私みたいなおばさんじゃ逆にKさんに申し訳なくて(笑)」
私「あ、いや、別にそういう意味で断った訳ではないですから。」
私は慌てて先程の言葉の意味を弁解しようとした。
梢「いや、分かってますから大丈夫ですよ(笑)本当に奥さんのこと大好きなんですね。」
やがて、車は高橋さんの家の前に着く。
高橋さんが玄関から出てきた。
高橋「本当にすみませんでした。」
高橋さんは、私にそう言いながら奥さんを出迎える。
高橋「あ、お風呂沸かしなおしてあるから。」
梢「そう。ありがとう。早速入っちゃう。あと、あれは用意してある?」
高橋「あぁ。テーブルにあるよ。」
梢「はい。じゃあ、Kさん、今日は本当に申し訳ありませんでした。」
私「いえいえ。寒くなってきましたから、お体に気を付けて。」
高橋さんの奥さんは家に入っていった。
私「すみません。あれ、って?」
高橋「あぁ!そうだ!いや、もしかしたら奥さんにもお渡ししないと!避妊用ピルです!」
私「あぁ。そういうことですか。いや、うちは、大丈夫じゃないかな。三人目産んだ後に避妊手術してるんで。」
高橋「あ、そうなんですか。良かった。」
私「それに……、もしかすると……いや、大丈夫です。それよりも。」
私は声を小さくした。
私「で、録画したデータはいつお渡しをすれば?」
高橋「あ、そうですね。明日とかは?」
私「明日ですね。大丈夫だと思いますけど、時間は作れますか?」
高橋「明日は休みなんで大丈夫です。」
私「私も明日は休みます。流石に最近は休日返上しすぎで疲れました。」
高橋「分かりました。では、また明日。」
私「お疲れ様でした。奥様にもよろしくお伝え下さい。」
そう言って私は自宅へ車を走らせた。
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