私は課長と共にI社の応接室へと通された。
10分程たち、社長の吉田さん、専務の岡本さん、そして高橋さんが応接室へと入ってきた。
課長がまず社長に簡単に状況を説明し、私が今後の工程について説明した。
私達の説明を聞き終えて社長の吉田さんが口を開いた。
吉田「分かりました。新システムの導入期日が遅れるのは仕方ありませんね。私から社員には説明します。ただ、私が気になるのは、それによって生じる損害はどれくらいになりそうですか?」
課長「いえ、これは弊社どものミスでありますので損失補てんは御社に請求しない方向で考えております。」
吉田「なるほど。分かりました。ただ、ね。長年付き合いのある御社だから、今回の話も信頼して受注したということは忘れないでいただきたい。昨年も一部ミスがありましたが、こう続くようだと、うちとしても今後を考え直さなくてはならなくなる。」
課長「御指摘はごもっともでございます。当初の期日は遅れますが、一刻も早く御社に新システムを導入出来るよう、社員一丸となって精一杯力を尽くさせていただきます。」
吉田「よろしくお願いしますよ。」
そう言って、吉田社長と専務は部屋から退室した。
私は、課長に耳打ちをする。
私「課長、今後の予定について高橋様と打ち合わせを致しますので、課長は先に本社へ戻って部長へ報告をお願い致します。」
課長「分かった。後は頼むぞ。」
そう言うと課長は席をたち高橋さんに一礼しながら
課長「それでは私は先に本社に戻り本件について早速今後の指示をしてまいります。こちらにはプロジェクトマネージャーのKを残しますので、お先に席を外させていただくことをご容赦下さい。」
高橋「分かりました。」
そういうと課長は私に「頼むぞ」と言って応接室を退室した。
私は高橋さんと二人きりになると、まず口を開いたのは高橋さんだった。
高橋「いやー、ホント災難でしたね。」
私「大変申し訳ございません。」
高橋「いやいや、二人きりなんで、そんなかしこまらないで下さいよ(笑)」
私「今回は本当にご迷惑をおかけしてますから。」
高橋「大丈夫ですよ(笑)今回のことは私からも社長にはきちんと話をしておきます。」
私「ありがとうございます。」
高橋「ただ、あまり大きな声では言えませんが、社長にあまり弱みは握られない方がいいですよ。」
高橋さんは声を小さくして言った。
私「と、いいますと。」
高橋「うちの社長、一見すると優しいように見えますが、相当したたかですよ。なにしろ、1人で会社を立ち上げて、一代でここまでここまで成長させたんですから。」
私「なるほど。では、まだ何かがあるかもしれない、ということですね。」
高橋「そうですねぇ。何かあるかもしれませんが、まぁ、私も陰ながらサポートさせてもらいますよ。」
私「ありがとうございます。」
そう言いながら、私は高橋さんに今後の工程についての詳細の説明に入った。
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