吉田社長の提案対して私は
私「それは流石に出来ませんよ。」
と答えた。
吉田「今ここでしたら、損失補てんを求めないとしてもか?」
社長は更に揺さぶりをかけてくるが、私はこの男の性格を大分理解していた。
私「としても?自分の得にならないことはしないタイプのあなたに、そんな言葉を言われたところで、信用しかねますが。」
吉田社長は不敵な笑みを浮かべながら
吉田「どうやら、私という人間を分かってきたようだね。その通りだ。そうして、私は今の地位に登り詰めたのだからね。さて!私はそろそろ行くことにするかな。」
そう言いながら、社長は床に散乱している自分の下着やハンガーにかけたスーツに着替えはじめた。
吉田「何なら、このまま君の奥さんをホテルに連れていっても構わんよ?」
私「そうした場合は、私にも考えがありますよ。」
吉田「なんだ?警察沙汰にでもするかね?奥さんを自分で差し出しておいてか?」
私「そんなつもりはないですよ。」
警察沙汰に等出来る筈がない。
会社にばれたら居場所はなくなるし、何より妻がそれを望んでいないからだ。
妻「パパ………いいから。大丈夫。」
妻はソファーから体を起こして毛布をかけたまま社長に言った。
妻「社長、明日は子供を迎えにいくので、私は一緒には行けません。どうかご理解下さい。」
吉田「奥さんの頼みじゃあ、仕方ないな。梢君行こうか。」
梢「Kさん、申し訳ありません。」
私は無言のまま、家を出て車のエンジンをかけた。
社長と高橋さんの奥さんが後部座席に乗り込むと、私は駅前のビジネスホテルに車を向かわせた。
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