月曜になって会社へと出勤し、私は部長室で進捗状況の報告に入る。
部長「もう12月になってしまった。ここからはペースを上げて1日も早くI社に新システムを導入するんだ。先週金曜日に他の部署に掛け合って、サービス部とセキュリティセンターからそれぞれ3人ずつ応援を貰えることになった。」
課長「え?ありがとうございます!」
助かった。これでデバッグ作業がより捗っていく。
部長「それから、損害対応はどうしている。」
課長「法務部から顧問弁護士に連絡は入れましたが、納入遅れは、やはり契約内容から相手の出方次第だと言われたようです。」
部長「やはりそうか。しかし……今回は厄介な取引相手にひっかかったようだな。」
課長「厄介?」
部長「あくまでも噂だが、今回のI社の吉田社長。悪い噂が一部あってね。」
課長「どのような……」
部長は声をひそめなが言った。
部長「あまり大きな声では言えないが、無類の女好きらしい。イベント系の会社には女性を使う仕事もあるからな。」
課長「いわゆる枕営業……ですか。」
部長「そんな噂を耳にした。あくまでも噂だがな。」
課長「しかし、うちには無関係な話ですよね。」
部長「ああ。恐らく……な。」
私は目眩がした。
既にその悪い噂は現実のものとなっているのだ。
きっと、課長は私の妻が枕営業に手を出していることに気付くことはないだろう。
私は定時に会社を上がり、駅前の喫茶店で高橋さんと会っていた。
高橋「金曜はお疲れ様でした。」
私「お疲れ様でした。」
高橋「社長はえらく喜んでいましたよ。また今週にも……と言っていました。」
私「やはり……」
高橋「奥様はいかがですか?」
私「妻も覚悟はついたようですが……」
高橋「では、予定組みますか?」
私「いや……昨日から女性特有の日で。」
高橋「あぁ………。なるほど。」
私「しかし、高橋さんの奥様は金曜日は……。」
高橋「うちの妻は大丈夫ですよ。それなりに長い付き合いで、出来る範囲で社長を悦ばせる方法を身に付けてますから。しかし、Kさんの奥様には荷が重いですね。分かりました。社長には私から上手く説明しておきますよ。」
そう話す高橋さんの声は少し暗くなっていた。
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