吉田「これは、一体どういうことだ!私が何故損害賠償を請求される!」
吉田社長が山本部長に書類を投げ返してきた。
私が書類に目を通す。
『損害賠償請求通知書』
とタイトルが書かれており、金額欄に目を通すと
6億7200万円
と書かれていた。
宛名は、吉田社長個人宛だ。
吉田「馬鹿も休み休み言いたまえ!」
部長「お書類によく目を通していただきたい。」
吉田「目を通す価値もない!」
部長「そうですか。しかし、弊社も黙って見ていたわけではありませんよ?弊社が下請けに受注したJ社。この会社は随分とタイミングよくいなくなったなぁ、と思っていました。」
吉田「それが、なんだ!うちには関係ないことだ!」
部長「関係ない?おかしいですねぇ。うちの法務部が、J社の調査をずっと続けていました。すると、どうでしょう。貴方の個人口座におかしな振り込みがありました。うちがJ社に前金で支払った6250万円。しかも、J社にうちが前金を支払った当日に。」
吉田「何故それをっ!!」
吉田社長はハッとした顔で高橋さんの顔を見た。
高橋さんは、冷静な顔をしていた。
吉田「高橋っ!!貴様っっ!!」
部長「うちは最期のピースを慎重に集めていました。すると、匿名の方が調査に協力を申し出てくれましてね。それで昨日のうちに全ての書類が出揃いましたよ。」
高橋さんは、立ち上がり、社内の電話を取った。
高橋「専務、お願いします。」
暫くすると、I社の重役らしき人達7人がぞろぞろと社長応接室へと入ってきた。
吉田「なんだ、貴様ら。」
すると、1番年上であろう重役らしき男が前に出る。
男「専務の砂川といいます。この度は弊社の新システムの件で大変なご迷惑をかけました。御社には、契約通りの金額と更に弊社からの慰謝料を上乗せしてお支払いをさせていただきます。」
吉田「砂川!貴様が決めることではないっ!」
部長「いえ。慰謝料はいりません。代わりに吉田社長へ請求致しますので。」
砂川「ありがとうございます。吉田社長、これから緊急取締役会を開きます。社外取締役の三人も間もなく到着します。議題は、吉田社長の解任動議です。既にここにいる7人全員が緊急取締役会の開催に同意しておりますので、ご準備を。」
砂川専務は、部長の前に置かれた書類をまとめ、他の役員と思われる人達と共に部屋を出ていった。
吉田「くそっ!高橋っ!!恩知らずめ!貴様は絶対に許さん!!」
高橋「えぇ。私達は決して許されません。人として、絶対に。」
部長「あぁ。吉田社長、この件については、警察に刑事告訴の準備を弊社の顧問弁護士がしております。結果はどうなるか分かりませんが、心しておいて下さい。それでは、失礼致します。行くぞ。」
部長の声と共に、私と課長と法務担当者は社長応接室を出る。
応接室からは吉田社長の悲鳴が外まで響き渡ってきた。
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