待合室で待っていると、携帯電話が鳴った。
課長からだった。
私「お疲れ様です。」
課長「あ!K君!奥さんの具合はどうだ?」
私「1ヶ月くらい入院することになりました。」
課長「1ヶ月!?で、どこの病院に?」
私「C県にあるメディカルセンター病院です。」
課長「そ、そうか。お見舞いに伺いたいんだが。」
私「え?無理ですよ。家族も暫く面会出来ないんですよ。」
課長「えぇ!!そんな重病なのか!」
私「いや、精神的なものなので。」
課長「そ、そうなのか。」
私「課長どうしたんですか?昨夜電話した時は、私の出勤ばかり気にしていたのに。」
課長「い、いや………別にそういう訳ではないんだけどな。ただ、部長から、奥さんの容態を確認するように言われて……。」
私「そうですか。命に別状ありませんので、大丈夫です。明日は出勤するので、安心して下さい。」
課長「そ、そうか。分かった。では、明日待っているよ。」
私「お疲れ様です。」
課長との電話を切ると、義母が戻ってきた。
義母「予想してたよりも全然元気そうだったわよ。」
私「そうですか。」
義母「さて、帰りましょうか。」
私「はい。」
病院に近い駅で降ろしてくれれば電車で帰ると言うので、私は義母を駅まで送ることにした。
義母「あの子もねぇ。ちょっと責任感ありすぎる、というか、真面目すぎるのよ。何やるにしても、やると決めたら手を抜かないから。」
私「そうですね。」
義母「それで倒れちゃうんじゃあ、ね。もう少し気楽になってほしいわ。」
私には何も言えなかった。
家族を守る、という責任を押し付けたのは自分なのだ。
今更、私には何も言うことは出来ない。
車が駅に着くと、義母は車から降りる。
義母「じゃあ、来週は月曜日に行くわ。」
私「分かりました。ありがとうございました!」
義母「大丈夫、大丈夫。Kさんも、無理しないようにね。」
そう言って、義母は駅の階段を登っていった。
※元投稿はこちら >>