10時頃にC県T市にあるメディカルセンター病院へ到着し、受付窓口に行く。
受付「K.Yさん………午前最後の診察に産婦人科の日下部先生の名前で入っていますね。あれ?転院ですか。じゃあ、受付はこちらで……」
一時間程で受付が終わり、私は家族待合室に通された。
待合室で待っていると、妻の母親からの電話が入る。
義母「あ、もしもし。Kさん、病院着いたんだけど。どこ行けばいいかしら。」
私「あ、では今から総合受付行きますね。」
総合受付前で義母と落ち合う。
私「お義母さん、すみません。」
義母「大丈夫よ。心配しないで。Kさんも大変なのにね。」
私「まだ診察始まってないんですが、とりあえず暫く入院するみたいなので、これ、Yの着替えです。」
義母「ん、分かった。でも、家族は面会禁止なんてね。」
私「お医者さんの判断なので……。」
義母「そうねぇ。ただ、私も週1くらいしか来れないんだけど、いいかしら?」
私「いえいえ、十分です。ご迷惑おかけして申し訳ありません。」
義母「娘のことなんだから、迷惑なんてないわよ。それより、一郎達は大丈夫なの?」
私「えぇ。とりあえずは。」
義母「そっか、そっか。それが1番心配よねぇ。」
義母と話をしていると、看護師らしき女性が待合室に入ってきた。
看護師「K.Yさんのご家族の方、いらっしゃいますか?」
私「はい。」
看護師「診察終了しましたので先生から説明がありますので、どうぞ。」
私は義母と共に診察室へ入ると、昨夜診察してくれた女性医師がいた。
遥香「えーと。Yさんのお母様でよろしいですか?」
義母「はい。娘をよろしくお願い致します。」
遥香「産婦人科の日下部といいます。今回Yさんの主治医になります。よろしくお願い致します。」
義母「え?産婦人科なんですか?」
遥香「あぁ。はい。今回のYさんは、女性特有の病気もあるので、今回私が主治医になりました。」
義母「そうなんですね。」
遥香「まず、Yさんは女性ホルモンの分泌異常から神経系の病気が発症してしまい、今回の入院になりました。詳しい原因はまだ解明されておりませんが、過労や過度なストレスが原因と考えられております。ですから、同居ご家族の方との面会については今は控えて、お母様のみ面会を許可します。」
義母「はい、分かりました。」
遥香「ちなみに過去に何かトラウマ的なものとかはありますか?」
義母「んー。ない、と思うんですけどねぇ。女手一つで育ててきましたが、良い子に育ってくれて。」
遥香「そうですか。過去にトラウマ的なことがあったりすると、それが症状に影響を与えるおそれがあるので良かった。」
義母「あ、そうなんですね。」
遥香「それからYさんは、一部記憶が途切れていたりしますので、看護にあたり、無理にどうしたの?とか聞くと混乱してしまいますから、それも避けてあげて下さい。」
義母「え、そうなんですか?記憶がなくなるなんて、元には戻るんですか?」
遥香「大丈夫ですよ。例え戻らなくても、生活には支障ありませんから。」
義母「あ、よかった。」
遥香「とりあえず、病室は6階西棟の621号室の個室になりますので、荷物とかを持っていってあげて下さい。」
義母「分かりました。」
そう言うと、義母は看護師と共に診察室から出ていった。
私「お世話になります。」
遥香「よろしくお願いします。昨夜は、よく眠っていましたよ。まぁ、軽い導入剤入れたからですけど。」
私「ちなみに、義母にした説明は…」
遥香「全然違う内容ですよ?言ったじゃないですか。それらしく説明する、と。」
私「やっぱりそうなんですよね。」
遥香「さて、私は今日は奥様の診察のために来ただけなんで、病室に寄って帰りますので。」
私「あ、そうなんですね。わざわざありがとうございました。」
遥香「いえいえ。」
そう言って、主治医は診察室から出る支度を始めたので、私も診察室を後にした。
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