私が会計をしている間、梢さんは顔を覆いながら泣き続けていた。
私は、会計を終えると深夜であったが、課長へ電話をして、妻が入院をすることになったことと、明日は仕事を休むことを連絡する。
課長は、プロジェクトが最後の仕上げ段階に入っている段階での私の休みに難色を示していたが、最終的には了承してもらえることが出来た。
梢さんはあまりにも動揺していたため、帰りの車は、私が運転を代わることにして私の家に向かった。
家に着くと、高橋さんはリビングのテーブルに座っており、まりんちゃんはホットカーペットの上で三郎と一緒に遊び疲れて眠っていた。
高橋「奥さんは、、、」
私「1ヶ月入院をすることになりました。」
高橋「そう……ですか。」
私「遅くまで本当にすみませんでした。私も明日は子供を送り出したら病院へ行きますので。」
梢「でしたら、私とまりん、こちらに泊めていただけませんか?せめて……家事くらいさせて下さい。」
梢さんは頭を下げて私にそう申し出た。
私「いや、しかし……」
私は高橋さんを見ると、高橋さんも真剣な顔をして
高橋「いえ、元はと言えば私から始まった問題ですから。」
私「高橋さん達は気にしないで下さい。悪いのは私ですから。」
梢「せめて明日くらいは手伝わせて下さい!」
梢さんの気迫に圧されて私は、高橋さん一家全員がうちへ泊まることを条件として高橋さん夫妻の申し出を受け入れることにした。
高橋さん夫妻は、自宅へ着替えを取りに一度戻っていった。
私は、三郎を一郎と二郎が眠る和室に移動させると、二階の親が泊まりに来た時に使用する部屋を高橋さん夫妻に用意した。
クローゼットから二組の布団を出して敷いておいた。
妻は月に一度使っていない布団も干していたので、幸い布団も使用出来る状態だった。
普段気にすることもなかった、妻のまめさをこういうところで実感する。
布団を敷いていると、自然と涙が止まらなくなる。
私は部屋で声を出して泣いていた。
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