梢さんが診察室に入ると女性医師は早速口を開く。
遥香「まず、Yさんの診察をして、一体何が起きたのかは、すぐに想像がつきました。現場に男は何人いましたか?」
梢「……分かりません。」
遥香「Yさんの治療に必要なことです。一切分かりませんか?」
女性医師の目つきが鋭く梢さんに突き刺さる。
梢「3……いや、……4人だと思います。」
遥香「相手に思い当たる点は?」
梢「イベントコンサルタント会社、株式会社I企画の吉田社長です。」
遥香「他の人は?」
梢「分かりません。」
遥香「本当ですね?」
梢「本当に分かりません。」
遥香「分かりました。」
私「あの……やはり、警察に通報しますか?妻は…」
遥香「医者は患者の治療を最優先するものです。今通報なんてして警察が来たら奥様は耐えられません。」
私「そうですか。やっぱり……」
梢「あの鬼畜……」
遥香「鬼畜?だとしたら、貴方達も同じよ。」
私も梢さんも、女性医師の放った言葉に返せる言葉がなかった。
遥香「貴方達にどんな事情があったのかは、分かりませんが、少なくとも奥様が望まない形での性交を強要された。そして、今まで話した状況から、それをどんな形にせよ、容認していたのならば、貴方達も同じじゃないんですか!」
その通りだ。私も容認をしてしまった。
梢さんは声を出して泣いていた。
遥香「すみませんでした。つい、きつい言い方になりました。とにかく、奥様の治療に全力を尽くします。治療に必要なのは、ご家族の協力です。」
私「分かりました。」
遥香「では、明日、入院手続をお願いします。本日は帰っていただいて結構です。」
私と梢さんの二人は診察室を後にした。
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