夫がリビングに入ってきた。
私はドアに背中を向けてソファーに横たわり、絶頂の余韻のせいで肩で息をしている。
夫の手が私の肩に触れる。
私「アアァアンッ!」
ビクンッ
夫に肩を触られただけで、いつもの夫の温もりに快感が全身を駆け巡った。
吉田「まだあまり触らない方がいいよ。今は全身が性感帯みたいになっているからね。」
夫が私の頭を撫でてきたので、私はゆっくりと体を夫に向けて薄目を開く。
私「ハァハァハァハァ……………パパ……ゴメン………ハァハァ……私……頑張った………けど………無理…………だったみたい。」
快感の波に飲まれながら、私は自分のふがいなさを夫に伝える。
吉田「いやいや、やっぱり君の奥さんは最高だったよ、男慣れしていないから余計にな。あの姿を思い出すだけで………うっ!」
少しすると、ゴホゴホッ、という梢さんのむせる音が聞こえた。
梢「……ハァハァ……飲みました。」
吉田「うんうん。梢君のイラマチオも最高だよ。どうだね?K君、梢君と今ここでしてみないか?」
吉田社長が、先程言っていたことを夫に提案する。
夫「それは流石に出来ませんよ。」
夫は吉田社長の提案を拒否した。
私は、それを聞きながら、涙が出そうになった。
吉田「今ここでしたら、損失補てんを求めないとしてもか?」
吉田社長は夫を脅してでも、梢さんとさせようとしている。
そうすることで、私の心まで折るつもりなのだ。
夫「としても?自分の得にならないことはしないタイプのあなたに、そんな言葉を言われたところで、信用しかねますが。」
夫の声に怒気が混じる。
吉田「どうやら、私という人間を分かってきたようだね。その通りだ。そうして、私は今の地位に登り詰めたのだからね。さて!私はそろそろ行くことにするかな。」
吉田社長は、スーツを手に取り着替えを始め、帰り支度を整える。
吉田「何なら、このまま君の奥さんをホテルに連れていっても構わんよ?」
これ以上、吉田社長が夫を挑発したら、まずい。
夫「そうした場合は、私にも考えがありますよ。」
吉田「なんだ?警察沙汰にでもするかね?奥さんを自分で差し出しておいてか?」
夫「そんなつもりはないですよ。」
夫は私の現状を見て怒っているのだ。
私がもう少しまともな状態でいられたら、夫はここまで怒らなかっただろう。
でも、ここで夫が吉田社長と揉めたら全てが無駄に名ってしまう。
私「パパ………いいから。大丈夫。」
私は力を振り絞ってソファーから体を起こし、吉田社長に言った。
私「社長、明日は子供を迎えにいくので、私は一緒には行けません。どうかご理解下さい。」
吉田「奥さんの頼みじゃあ、仕方ないな。梢君行こうか。」
梢「Kさん、申し訳ありません。」
こうして、夫、梢さん、吉田社長の三人は外へ出ていった。
私は、三人を玄関まで見送る気力までは戻らなかった。
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