中学生3人が沢下りを楽しむ間、マリコは旅館周囲を散策してみることにした。
渓流は透明度が高く、水の深みはエメラルドグリーンをしていて、小魚の泳ぐ姿もあった。
そういえば旅館のパンフレットに釣り竿のレンタルの案内も載っていた。
渓流沿いの遊歩道はよく手入れされ、危険がないように所々手すりも設置されている。
太陽の日差しは木々の葉の間からゆらゆらと地面を照らしていた。初夏だったが
沢の空気ははひんやりとしていた。翔太ら3人も沢下りを楽しんでいるのだったが、
逞しいからだの3人だったから、マリコは安全についてはあまり心配しなかった。
それよりも今夜のマリコの身の安全が心配だった。その点夫の健二は不思議なほど
鈍感だった。仕事人間の夫から見れば中3の少年は未熟な男にしか見えていないのだ。
しかしマリコから見れば3人とも立派な雄だったのだ。
夕方近く翔太ら3人は楽し気に沢下りから戻ってきた。三人とも良い汗をかいたらしく、
爽快な表情をしていた。皆空腹になっていたので、部屋に食膳を用意させた。
山の幸を中心に肉料理もある夕食を4人で楽しく食べると、その後はいよいよ温泉に入ることになった。
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